2017年10月31日火曜日

2017年10月報

1.10月授業内容
2.今月の課題
3.今後の授業スケジュール
4.お知らせ


1. 10月授業内容


1.0 <スタートアップ>



 割愛します。




  [三輪車ロボをモーター駆動化した独自改造の好例]


1.1 <プライマリーコース『SLロボロコ』>



 割愛します。





1.2 <ベーシックコース『ケンドーロボ』>



 文字通り、剣道のように竹刀(しない)を振るロボットです。
剣道には、ここぞという時に、前進と「面!」の2つの俊敏(しゅんびん)な動きが必要です。

 1日目では、モーターで左右両輪を駆動し、前進・後退できるようにしましたが、竹刀は手動で前後に振り動かせるだけです。
竹刀を自動的に振るには動力源動作タイミングを与えなくてはなりません。
2日目に解決します。


 動力源として、モーターを前進に利用してしまっているため、輪ゴム(の弾性力)を利用します。
前面に引っ掛けた輪ゴムが、竹刀を後方へ振り構えるにつれ引っ張られます。

動作タイミングとしては、背後に振り構えた竹刀を振り下ろさないよう固定するロックが、相手にぶつかった衝撃を検知して外れるようロック部品と一体化してスライドするバンパーを前部に取り付けました。
衝突して押し込まれるバンパーを利用する点が、先月の『う王さ王』と似ていますね。


 このロックがうまく外れるための工夫が設計されています。それは“スピード”です。
スピードがあればこそ、ぶつかった衝撃が大きくなり、ちゃんと検知できるのです。

だから、今回のロボットはちょろちょろと速く走り、捕(つか)まえるのが大変ではありませんでしたか?
設計上の違いは、モーター軸に取り付けるのがいつものピニオンギアではなく、もっと大きなギアMでしたね。
こうして(ギアMがギアMを回して)モーターの回転数を落とさずにタイヤに伝え、速く走らせていたのです(*1)。


 最後の競技は「一本!」勝負。早く竹刀を振り下ろし、相手に当てた方が勝ちです。
バンパーを長くして早めに相手を検知し、それ以上に竹刀を長くしてリーチを伸ばすことも一つの指針ですが(*2)、あまり欲張ると重くなって、動作にキレがなくなりましたね。

案外、ノーマル仕様の小柄なボディの方が、体格のいい先輩たちを打ち負かしていました。


 なお、ケンドーロボ同士を対面させて、いざ取り組もうと発進させても、まっすぐ進まずに相手を打てないと悩むことがありました。

左右のタイヤは同一シャフトで直結しており、必ず等しく回転するので(*3)、一旦走り出した後はほぼ直進するのですが、最初の急加速する瞬間は、大きな力(タイヤのグリップ力)が地面にかかり、摩擦や重心バランスの関係で、どちらかのタイヤが多めにスリップしてしまうことが原因です。

底にパーツを付けて、地面との摩擦スリップバランスを取ることで直進したり、バランスを崩すことで曲がったりするようにも調整できましたね。


*1 同じ大きさのギア同士は、回転速度が同じに保たれます。このことを「減速しない」と言います。先月の『う王さ王』の改造例としても紹介しました。

*2 自分と相手のバンパーが当たるようだと、相手からも早く検知されるので、相手と高さを変えない限り、あまり有利とは言えません。

*3 モーター直結のギアが右タイヤを先に回していることが曲がる原因と分析する人もいましたが、そうではなく、左右のグリップ力のバランスを崩している面が影響していると考えられます。


1.3 <ミドルコース『ロボバッター』>



 ピッチャーとバッターの2部構成です。
モーターは1つだけなので、その動力はバッターに譲って、ピッチングは輪ゴムを使います。
逆に設計することもできますが、この方がコントロールし易いのでしょう(*1)。

 ピッチャーロボ(ピッチングマシン)の構造は、中世の戦争で利用された投石器そのものです。
いろんな物を投げ飛ばして、飛距離を観察してみました。
そこそこ重い物(ギアの塊)で体積が同程度なら、軽い方が遠くまで飛びました。
限られた輪ゴムのパワー(弾性エネルギー)で加速させ易いためです。

同程度に軽い物(ボール状に丸めたA5用紙)なら、堅く丸めて体積を小さくした方が飛びました。
空気抵抗を受け難くなるためですね。


 さて、投げられた物をバッティングするのは至難の業です。
バットを振るタイミングの問題もありますが、そもそもピッチングが安定せず、同じ物を投げても飛距離がばらばら。
玉が加速中にバケット(ピッチャーの手)の中で動いてしまい、飛ばす方向やスピードが変わるからと考えられます(*2)。

まして、バッティングマシンのスイッチを手動でオンにする1日目のロボットでは、全くと言っていいほど玉に当たりません。


 2日目にこれを自動化します。
電池ボックスから出たケーブルは、先ずはピッチャーに備え付けたタッチセンサー(黒)を経由させ、延長ケーブルを通して遠くのバッターに接続します。
こうして、ピッチャーが玉を投げ終わった瞬間にバッター内のモーターが回り始め、バットを自動的に振るようになります。

 さらに、いつまでもバットをぶん回し続けているのも格好悪いので、振り終わった位置にタッチセンサー(グレー)を備え付け、モーターを止めます。
これでバットを一回転分振るだけの、省エネ野球部になりました。

 電池ボックス ⇒ タッチセンサー(黒) ⇒ タッチセンサー(グレー) ⇒ モーター

のような直列接続により、両方のセンサーがオンになる間だけ通電する仕組みができ上がります。



 さて、肝心のバッティング精度ですが、ピッチングが安定しない中、タイミングだけは再現性を出せるので、二者間の距離や投球角度(*3)を調整すれば、5回中1回くらいは当てられるようになりました。
ピッチングを安定化させた人なら、90%以上の確度で当たっていました。

こうして我々人間は、機械化の恩恵に与(あずか)るわけですね。


*1 その大きな理由は、ぐにゃぐにゃに曲がっていても構わない延長ケーブルを使って、瞬時に電気エネルギーを遠くへ輸送できるからです。
 自動車も、電気化するほどコントロール性に優れます。

*2 つまり、バケットの中でぐらつかない大きさの玉にすることが、ピッチングを安定化するためのコツです。

*3 同じ初速度でも、投げ上げる角度によって飛距離が変わります。一般に45°が最も飛ぶと言われますが、実際は玉によって異なる空気抵抗を受けるため、40°前後になるようです。
 初速度と角度は、アームが止まった(ピッチャーの手を離れた)瞬間で決まります。


1.4 <アドバンスプログラミングコース『ドレミボット』>



 《下記を参照下さい》
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/robot/adv1-1710.pdf





1.5 <プロ3年目コース『不思議アイテムIII-2(1)』>


 ついに、仕上げの3年目コースに入りました。

 いきなり1日目から、垂涎の的たるフルカラーLCD(液晶ディスプレイ)に触れます。

ドット数は160×128と、一昔前のガラケー画面並みですが、それでも、1・2年目でそれなりに遊べた8×8ドット赤色(1ビット単色)LEDマトリクスが320個も入るドット数で、さらに24ビットフルカラーですから、320×24=7680倍の情報量です(*1)。
本格的なゲームも作れる解像度ですから(*2)、CPUとメモリを相当に喰いそうですが、一段とレベルの高いCGプログラミングに応えてくれそうです。


 といっても、直線や四角形・円などを描画するのは、8×8マトリクス同様の関数が用意されていますから、考え方は同じです。
同じような使い方でもCGがキレイになり、さらにカラー指定関数や引数が増えて楽しくなっただけです。損はありませんね。

 2日目では、テキスト文字表示関数 TFT::text("文字列",x,y) を使って、画面上に任意のメッセージを書いてみました。色も大きさも簡単に変えられます。
やはり、アルファベット1文字か数字2桁がやっとの8×8マトリクスとは表現力が格段に違いますね。もう戻れません(*3)。





 決まったプログラム描画ばかりじゃつまらないので、「各種センサーからの入力情報を処理して表示に反映させよう!」という段取りも、もはや定番です。

タッチセンサータクトスイッチ等のデジタル入力なら digitalRead()可変抵抗ボリューム等のアナログ入力なら analogRead() で読み取れます。

超音波距離センサーなら、便利な関数ライブラリを利用しましょう(*4)。
テレビを録画したければ、お気に入りのレコーダーの説明書を読んで使い方が分かれば良いだけで、レコーダーの構造を解析する必要はないのと同じです。

 もう、ゲームが作りたくてウズウズし始めましたか? それを理解度のパラメータにしてください。


*1 背景色 TFT::background(B値,G値,R値) や線の色 TFT::stroke(B値,G値,R値) などの指定関数には、RGB各値を0~255(8ビット256通り)で指定して、24ビット1677万通りの色分けができますが、LCDの実際の能力は16ビット65,536色までのようです。

*2 Nintendoゲームボーイ 160×144ドット×2ビット(モノクロ4階調)~6ビット(56色) よりも豊かでしょう。
 ゲームボーイアドバンスで 240×160ドット×15ビット(32768色)、
 DSは上下画面とも256×192ドット×18ビット(26万色)、
 3DS/2DSは上(下)画面 400(320)×240ドット×24ビット(1677万色) と進化しています。

*3 人間とは、そういう生き物です。幸福は、ステップを踏んで徐々に味わうのがコツなのに、いきなり最先端のスマホや3Dゲームで遊ぶ幼子(おさなご)は不憫(ふびん)です。
 こうして、テクノロジーが進化し続けない限り、幸せが続かない人間生活が続くのですね…。

*4 従来、1・2年目では RPlib::ussRead() を使ってきましたが、今回は NewPing::ping_cm() を使っています。
 委細(いさい)の仕事をAさんに頼むかBさんに頼むかの違いで、使い易い方を選べば良いのです。


2. 今月の課題


 <スタートアップ>
  特にありません

 <プライマリーコース>
  - オリジナル図面プリント

 <ベーシックコース>
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  - 上記授業内容を精読する(概ね3年生以上/低学年は補助の下で)

 <ミドルコース>
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  - 上記授業内容を精読する

 <アドバンスプログラミングコース>
  - 上記授業内容を精読する

 <プロ3年目コース>
  - 上記授業内容を精読する(該当テキストページを見ながら)


3. 今後の授業スケジュール


◆八幡東11/4 → 11/11へシフトしています。
◆小倉北11/5はムーブ5F企画ルーム1・2です。
◆中 間11/11はハーモニーホール3F会議室4(和室)です。

◆中 間ミドル時間を11月~変更(15:15→15:30)させて頂きます。
◆東福間ミドル時間を12月~変更(10:30→15:30)に極力ご協力下さい。

 日付の()は臨時、!は原則外、?は予定の意です。

――――――――――【佐藤教室長】――――――――――

[東福間]第1・3土原則
 (~2017年11月)
   - 10:30~ ミドル/アドプロ
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
  (- 15:30~ ミドル/アドプロ第2部)

 (2017年12月~)
   - 10:30~ アドプロ(/ミドル臨時)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル(/アドプロ臨時)

 (2018年4月~予定)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒ 11/4, 18,  12/2, 16,  1/6, 20


[東福間プロ]第2・4日原則
   - 15:30~ プロ3年目

 ⇒ 11/12, 26,  12/10, 24,  1/14, 28


[中間]第2・4土原則<なかまハーモニーホール>
 (2017年11月~)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒11/11 第1回 3F会議室4(和室)
  11/25 第2回 3F会議室2
  12/9, 23,  1/13, 27


[小倉北]第1・3日原則<ムーブ>
   - 10:00~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル
   - 15:00~ アドプロ/ベーシック第2部

 ⇒11/ 5 第1回 5F企画1・2
  11/19 第2回 5F小セミ
  12/3, 17,  1/7, 21※

 ※1/21は『商工貿易会館(シティプラザ)』で開催します。


――――――――――【菅本教室長】――――――――――

[とばた]第2・4土原則<ウェルとばた8F>
   - 13:00~ 全コース(プロを除く)

 ⇒ 11/11, 25,  12/9, 23,  1/13, 27


――――――――――【中野教室長】――――――――――

[八幡東]第1・3土原則<レインボープラザ4F>
   - 13:30~ ベーシック
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒ 11/11!※, 18,  12/2, 16,  1/6, 20

 ※11/4は施設使用不可により一週シフトします。


[小倉南]第2・4日原則<総合農事センター2F>
   - 10:30~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル  /アドプロ

 ⇒ 11/12, 26,  12/10, 24,  1/14, 28


4. お知らせ

1) オリジナル電子工作 はんだ付け講座

 宿題ポイント交換用の景品として、電池チェッカー等の電子工作キットを支給して参りますが、興味津々な一方で、半田付け作業の不慣れがネックのようです。
 今回の講座は、本格的な電子工作には欠かせない半田付けの練習から、使えて楽しい電子機器の製作までを短時間で履修し、持ち帰り頂きます。
 必要物は全てキットに含まれますので、準備物はありません。
 電子工学の道に目覚める運命(!?)の生徒さんに強くお薦めします。

【対象】
 ロボット/プロ教室に通う生徒さん・兄弟姉妹 小3~高校生

【定員】
 6組×2=12名(ご家族同伴可)

【日時】下記いずれかの部(2時間)
 ・AMの部 11/23(木) 10:00~12:00
 ・PMの部 11/23(木) 14:00~16:00

【会場】
 北九州市立男女共同参画センター(ムーブ)4F 工芸室

【工作名】
 『明るさセンサー式LED常夜灯』

【内容】
 付属の半田ごてセットを使って、電子部品やICのはんだ付け作業を練習した後、実用的なLED常夜灯を製作して持ち帰ります。
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/lab/lab0-1710.pdf

【参加料】
 5,500円(受講料3,500円+キット代2,000円)

【講師】
 中野 司・佐藤 誉夫

【申込方法】
 11月授業でチラシを配布し、11/5~メールにて募集、11/16決定(抽選)します。
 ご反響メール歓迎します!

【申込条件】
 - 講座指定の半田ごてセットを使用頂きます。お子様の占有物にしてあげて下さい。
  進行上、お手持ち品の持込みはご遠慮下さい。

 - 半田ごては熱器具です。扱いを誤ると火傷・火災の恐れがあります。
  持ち帰り頂きますので、ご家庭での取り扱いルールをお決め下さい。

 - 原則として、12月お引落し額(1月分)に加算して徴収させて頂きます。
  キャンセル・欠席により空席が発生した場合は返金できません。(キットと製作テキストのみお渡しします)


2) 9月課題 高得点者  []内は教室と学年

  ◆プライマリ【6名平均 図面4.8】
   5点…筋田[東福間2], 河原[中間1], 渡邉[中間1], 長友[八幡東 年長], 林田[小倉南 年長]

  ◆ベーシック【28名平均 図面2.3+設問2.7=5.0】
   10点…なし
   9点…なし
   8点…宮尾[八幡東4], 森崎[八幡東2], 糸山[小倉北3]
   7点…川村[中間4], 荒木[小倉北3]

  ◆ミドル【15名平均 図面3.1+設問2.6=5.7】
   10点…吉良[小倉南6]
   9点…田中[東福間5], 橋本[小倉南3], 原[小倉南4]
   8点…なし


東福間・中間・小倉北教室 佐藤 / 八幡東・小倉南教室 中野

2017年9月28日木曜日

2017年9月報

1.9月授業内容
2.今月の課題
3.今後の授業スケジュール
4.お知らせ


1. 9月授業内容


1.0 <スタートアップ>


 割愛します。



1.1 <プライマリーコース『メカビートル』>


 割愛します。




1.2 <ベーシックコース『う王さ王』>


 “右往左往(うおうさおう)”をもじっていますので、この四字熟語を知っていれば、動作は想像に難(かた)くなかったでしょう。

赤色に目立つ巨大なバンパー(フレーム)を前後に装着した四輪車が、どうも前後(横から見れば左右)の壁にぶつかる度(たび)にスイッチバックして、行ったり来たりを繰り返すようだ、
とまでは予想できましたが、1日目のテキストでは、「スライドスイッチを手動で切り替えて実現するのは大変だね」で終わり、核心部分はお預けです。


 2日目でようやく、衝突で押し込まれるバンパーがスライドスイッチを反転させる機構を組み付けました。

しかし、中には下記のポイント【レベル1・2・3】が未解決のため、最後までうまく動作しなかった例も散見されました。
スライドスイッチの固いものであったかもしれません。
レベル毎に順を追って、解決していきましょう。

【レベル1】最低限…
 1) テキストを良く見て、正確に作ること(絶妙に設計されており、自己流では困難)
 2) スライドスイッチのツマミを挟む部品をしっかり組み付けましたか?(ぐらつくようではダメ)(*1)

【レベル2】スライドスイッチが固い人は…
 3) スイッチを数十回左右に切り替えて、少し柔らかくする(モーターを外して!)


【レベル3】壁から受ける衝撃を強めるために…
 4) 摩擦を減らす(タイヤがスムーズに回るように)
 5) スピードアップ(電池4→5本)
 6) 重くする(荷物をのせる・ぐらつかないように)(*1)


【レベル4】それでもダメなら、もっとスピードアップ!
 7) モーター軸のピニオンギアをギアMに交換する(*2)
 8) 左右に走らせる幅を広めにとる(加速に時間がかかるので)

【レベル5】それでダメでも、まだある!
 9) 固いスイッチを弱い衝突力でも動かせるようにするには…?(てこの原理)(*3)

どうです?「ダメだー」と思っても、これだけ、いや、まだ他にもありそうです(*4)。

【レベル2・3・4・5】どれか1つでもOKかもしれません。
特に【レベル4】は簡単にできますし、これで動作しないことは無いでしょう。


 授業中、最後まで諦(あきら)めずに何とか動かそうと奮闘(ふんとう)した生徒さんほど、目からウロコなのではないでしょうか。
解決方法が身に染(し)みると思いますので、ロボットを壊す前に、ぜひトライしてください。


 本来、【レベル3】を自ら考案するのがミドルコース進級レベル、【レベル4】がミドルコース内レベル、【レベル5】がアドバンス進級レベルです。
自分の改造力にしてください。


*1 “ぐらつかない”ことは、大事なポイントです。衝突エネルギーが“ぐらぐら”で失われるからです。
 自動車のエンジンルームがつぶれやすく、車内への衝撃を和らげるのとは逆の考え方です。

*2 ピニオンギア(歯数8)をギアM(歯数24)に替えるので、3倍の増速になります。
 実際は摩擦のせいでそこまで速くなりませんが、かなりスピードアップします。

*3 大幅に作り変える必要があるでしょう。

*4 例えば、走行中に輪ゴムを巻いて、スイッチ切替用エネルギーとして補助的に使うなど。


1.3 <ミドルコース『ロボアーム』>



 ミドルコース中、1・2番を争う傑作(けっさく)に位置付けたい、摩訶不思議なロボットが巡ってきました!

 動力はいつも通り、電池ボックスに繋いだモーター1個です。
手元で制御できることはせいぜい、スライドスイッチを反転させることくらいです。
なのに、スイッチを入れると、
1) 垂れ下がったハンド(アームの先端)が物を掴(つか)む
2) アームを水平まで持ち上げる
3) アーム全体が回転して反対側へ運ぶ
の順に動作します。


所望の位置で止め、今度はスイッチを反転させると、先程の逆順ではなく
4) 先ずはアームを降ろし
5) ハンドを開いて荷物を離し
6) アーム全体を元の側に回転して戻す
という一連のクレーン操作を熟練したかのようにこなすのです。

スイッチを入れている間、モーターはずっと一方向に回り続けているだけです。不思議ですね。

 これは言わば、バイクがアクセルをあおり過ぎてウイリーしてしまうのに似た原理です。
バイクのエンジンが生み出した力は、バイク全体を加速させることと、
前輪を浮き上がらせることの2方向に使い道が残されているのです(*1)。
力の逃げ道といった方が感覚的には分かり易いでしょう。

通常は、ウイリーよりも小さい力で済む加速だけに使われますが、
物体(バイク)は素早く加速させようとするほど大きな力を要する慣性の法則(*2)により、あまりに強大な力(エンジン全力)にとっては、ウイリーさせる(前輪を浮き上がらせる)方が“”なのですね(*3)。

 ロボットアームでは、慣性の法則は殆ど効いていませんので、負荷(アームに掛かる重力や、ジョイント部の摩擦)の軽い順に可動範囲を使い果たし、力が次々と逃げ道を探すのです(*4)。


実際、3段階目のアーム回転動作が軽すぎて、2段階目の持ち上げ動作をスキップしたり、並行動作したりするなど、不安定になる場合がありましたが、
・ 土台(ギアボックス)と回転アームの間に輪ゴム(またはホイール抜きタイヤ)を挟む
・ アーム自体を装飾して重くする
ことで摩擦を稼ぐと、スムーズに動作しました(*5)。


 完成したロボットで、荷物搬送に挑戦しました。
ロボットの片側エリアから、用意した荷物(タイヤSホイール等)を掴んでは、アームを180°回した先に降ろします。


単純に思えたスイッチの反転操作に手間取る(必ずしも逆順に動作しないので、細かなやり直しが難しい)一面もありましたね。


*1 接地状況により、ホイールスピン(タイヤを路面上で空転させる)を3つ目に数えることもできます。

*2 高校物理で学ぶ、〔力=質量×加速度(F = m・a)〕です。



*3 “楽”に動く方が選ばれるもう1つの原理は、作用・反作用の法則です。
 物が動き始めるには、別の物を押して返ってくる反力をもらわねばなりません。
タイヤのグリップ力が強大で滑らない場合、固い地面はバイクのエンジンパワーに負けることなく、タイヤが蹴るのと同じ力でいくらでも押し返してくれます。
ランニングマシンの上なら、床の方が後方へずれる動きも可能ですが、逃げない相手(動かない地面)に対しては、自分の方が逃げる(加速かウイリー)しかありません。
 ハンドやアームが限界位置まで来ると、それが動かない地面のように振舞って、次の動作へ逃げます。

*4 アームの「上げ・下げ」に必要な力は重力が大きく関係しますが、ハンドの「掴む・離す」はほぼ同じ力で済みます。
 だから、「掴む→上げる」の順だし、「下げる→離す」の順になるのです。
アームの旋回には、これらより大きな抵抗(摩擦力)が働けば、動きの順序に一貫性が生まれます。

*5 〔摩擦力=摩擦係数×荷重〕なので、輪ゴムを挟むことと、重くすることの両方が効果的です。氷上では重たい力士でもツルツル滑ってしまいますよね。


1.4 <アドバンスプログラミングコース スタートアップ『ライントレーサー』>


 全国統一でアドバンスプログラミング(アドプロ)コースが始まりました。
今月は、スタートアップ講座として、初めてのタブレットマイコンの扱いに慣れます。

 旧来のアドバンスコースを受講してきた生徒さんには、全国大会に向けた挑戦を始め、形を変えながら散々と(?)取り組んできたライントレーサーですが、今回は少し違います。

従来の「白黒判定に応じて2つの出力ポート(モーター用)の何れかを駆動する機能を持った光センサー(入出力制御デバイス)」を使うのではなく、
白黒判定に応じた信号を出力する光センサー(入力デバイス)」と、
入力信号の扱いや判定条件を定めたプログラムに則り、どの出力先をどのように駆動するかを決定するマイコン(制御デバイス)」とに分かれ、
2個のモーター(出力デバイス)を回転させます。


 回りくどくなったように聞こえますが、マイコン・プログラムが介在することで、格段に制御(変更)の自由度が向上します

光センサーを4つの入力ポートA・B・C・Dの何れに繋いでも、モーターを3つの出力ポート1・2・3の何れに繋いでも良く、
先ずは繋いで、それに合わせたプログラムを記述するだけです。


光センサーの判定を逆にしたり(*1)、モーターの回転方向を逆にしたり(*2)することも簡単です。


 加えて、左右で 0:100100:0 の切替えのみであった従来に対し、モーターのスピードを10%刻みで指定できるのも大きな進化です。
30:100 のようにカーブ内側のタイヤを完全には止めないようにしてスピード(スムーズさ)を上げたり、
-20:50 のように旋回半径を小さくし、スピードを犠牲にして小刻みに震えるような進み方ながらも、直角などの急カーブも脱線せずに曲がれるようにしたりと、
理論と実証の幅が広がります(*3)。

10月からの本流テーマが楽しみです。


*1 白黒判定と左右タイヤの駆動をどう対応させるかによって、黒ラインの左右どちらの端をたどるかが決まります。

*2 左右のモーターを反対向きに取り付ける構成では、前進するための回転方向が逆になります。
 従来は“逆転スイッチ”を挟んで調整しましたが、プログラム上では符号(±)を変えるだけです。

*3 この段落では、説明の簡略化のため、前進方向のモーター指示値を左右とも正(+)の符号で表記しています。


1.5 <プロ2年目コース『アームロボット(3)』>


 最終月は、サーボモーター式アームロボットを使った仕事(?)編です。

 アームロボットが高精度に動いたとして(*1)、決まった文字を書く自動書記や、決まった位置の荷物を運ぶ自動搬送など、
決め打ち”プログラムで人を楽しませることはできますが、センサー入力による制御がなければ、時計の針と大差ありません。


 台座(ベース)部に超音波センサーを取り付け、荷物までの距離を測れるようにしました。


Ultrasonic xxx(US1);
  // US1接続センサーへのアクセス用インスタンス(オブジェクト変数)xxx生成

long  us = xxx.timing();

float cm = xxx.convert(us, Ultrasonic::CM);
float mm = xxx.convert(us, Ultrasonic::MM);


と書けば、超音波センサーからの時間(マイクロ秒)を us に読み取り、音速から距離を計算し、cmmm に変換してくれます(*2)。

これで、アームロボット自身が荷物までの距離を計測し、掴みに向かうプログラム [ArmRobot5/SensorArmRobot3_4] ができます(*3)。
掴む位置(計測値による動作)が掴んで欲しい位置よりも15mm遠方であれば、setPosition(mm - 15, …) のように補正するだけです。

 あるいは、超音波センサーをハンド部に取り付けて、手を近づければ逃げ、遠ざければ追ってくる不気味なハンド [ArmRobot5/SensorArmRobot2Ans] にして遊ぶこともできます(*4)。


 他に、超音波センサーを使わず、“決め打ち”や手動コントローラーで遊ぶサンプルプログラムが用意されています。

・[ArmRobot6/Block] … 位置と高さを決め打ちした、ブロック積み
 ⇒ 3個くらい積み上げられますか?

・[ArmRobot6/semiAutoArmCustom] … コントローラーによる手動操縦
 ⇒ [ArmRobot3/semiAutoArm] と同等ですが、速度調整(リミット)され、可動範囲を広げています

・[ArmRobot6/UFOcatche] … UFOキャッチャー
 ⇒ どのような動作か、説明がありませんが、プログラムを解析できますか?

自由に改変してプログラミング力を上げておきましょう。

 2年目修了おめでとうございます。
3年目ではプログラミングのレベルも上がり、LCD(液晶ディスプレイ)自律型サッカーロボットによるゲームを成立させるアルゴリズムに触れていきます。


*1 前回書いたように、プラスチック製の長いアームを付け根のモーターで振り回すので、精度はイマイチですが…

*2 音速を340m/sとすれば、cm(片道距離) = 340 * 100 * us(往復時間) / 1000 / 1000 / 2 で求まります。

*3 旋回角度 0°限定方向です。持ち上げて旋回(搬送)する先は適当に決めます。

*4 もっと生き物っぽさを出したければ、あまりに手を近づけ過ぎるとハンドを閉じては開くという動作を加えて、噛みつき攻撃を表現するのもいいのではないでしょうか。


2. 今月の課題


 <スタートアップ>
  特にありません

 <プライマリーコース>
  - オリジナル図面プリント

 <ベーシックコース>
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  - 上記授業内容を精読する(概ね3年生以上/低学年は補助の下で)

 <ミドルコース>
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  - 上記授業内容を精読する

 <アドバンスコース>
  - 上記授業内容を精読する

 <プロ2年目コース>
  - 上記授業内容を精読する(該当テキストページを見ながら)


3. 今後の授業スケジュール


◆小倉北10/1 AMはムーブ5F大セミ(PM~小セミ)です。
◆中 間10/14は『北九州ハイツ』(八幡西区的場町1-1)で開催します。

◆中 間ミドル時間を11月~変更(15:15→15:30)させて頂きます。
◆東福間ミドル時間を12月~変更(10:30→15:30)に極力ご協力下さい。
◆東福間プロ3年目は10月~変更(12:45→15:30)になります。

 日付の()は臨時、!は原則外、?は予定の意です。

――――――――――【佐藤教室長】――――――――――

[東福間]第1・3土原則
 (~2017年11月)
   - 10:30~ ミドル/アドプロ
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
  (- 15:30~ ミドル/アドプロ第2部)

 (2017年12月~)
   - 10:30~ アドプロ(/ミドル臨時)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル(/アドプロ臨時)

 (2018年4月~予定)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒ 10/7, 21,  11/4, 18,  12/2, 16


[東福間プロ]第2・4日原則
   - 15:30~ プロ3年目

 ⇒ 10/8※, 22,  11/12, 26,  12/10, 24

 ※10/8 12:45~ 2年目 第6回 <9/24振替>


[中間]第2・4土原則<なかまハーモニーホール>
 (~2017年10月)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:15~ ミドル(/アドプロ振替)

 (2017年11月~)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒10/14※第1回 北九州ハイツ2F和室「鶴の間」
  10/28 第2回 3F会議室2
  11/11, 25,  12/9, 23

 ※10/14は『北九州ハイツ』(八幡西区的場町1-1)で開催します。


[小倉北]第1・3日原則<ムーブ>
   - 10:00~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル
   - 15:00~ アドプロ/ベーシック第2部

 ⇒10/ 1 第1回 5F小セミ(AMのみ大セミ)
  10/15 第2回 5F小セミ
  11/5, 19,  12/3, 17


――――――――――【菅本教室長】――――――――――

[とばた]第2・4土原則<ウェルとばた8F>
   - 13:00~ 全コース(プロを除く)

 ⇒ 10/14, 28,  11/11, 25,  12/9, 23


――――――――――【中野教室長】――――――――――

[八幡東]第1・3土原則<レインボープラザ4F>
   - 13:30~ ベーシック
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒ 10/7, 21,  11/11!, 18,  12/2, 16


[小倉南]第2・4日原則<総合農事センター2F>
   - 10:30~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル  /アドプロ

 ⇒ 10/8, 22,  11/12, 26,  12/10, 24


4. お知らせ

 8月課題 高得点者  []内は教室と学年

  ◆プライマリ【6名平均 図面4.7】
   5点…筋田[東福間2], 渡邉[中間1], 長友[八幡東 年長], 柴田[小倉北2], 林田[小倉南 年長]

  ◆ベーシック【25名平均 図面2.0+設問3.0=5.0】
   10点…なし
   9点…荒木[小倉北3]
   8点…川村[中間4], 谷川[八幡東4], 宮尾[八幡東4], 大橋[小倉北4], 今橋[小倉南4]

  ◆ミドル【10名平均 図面2.6+設問3.1=5.7】
   10点…なし
   9点…なし
   8点…吉良[小倉南6], 辻[小倉南6], 橋本[小倉南3]
   7点…なし
   6点…なし

  ◆アドバンス【2名平均 図面6.5+設問5.5=12.0】
   16点…松尾[八幡東7]


東福間・中間・小倉北教室 佐藤 / 八幡東・小倉南教室 中野

2017年8月31日木曜日

2017年8月報

1.8月授業内容
2.今月の課題
3.今後の授業スケジュール
4.お知らせ


1. 8月授業内容


1.0 <スタートアップ>


 割愛します。




1.1 <プライマリーコース『モッテクテク』>


 割愛します。










1.2 <ベーシックコース『リトルドッグ』>



 愛犬ロボットと銘打(めいう)つ、4足歩行ロボットです。
側面で同じ向きに回転する4枚のギアLがそれぞれの足を動かします。
ギアL上に挿(さ)すペグSの位置だけで、各足を運ぶタイミング(*1)や動きの大きさ(*2)をそれぞれ変えられるので、
4足の運び方による進み方の違いを観察するのにうってつけの教材です。


 1日目の製作を終えた段階では、うまく歩けない子犬が続出しました。
特に、左右で足の動きが同じだと、おかしな仕草(しぐさ)になります。
横から見て回転するような屈伸(くっしん)運動になり、前へつんのめって顔面を打つマヌケ犬か、100円で前後上下に動く乗り物のようです。全く進みません。

しっかり歩ける犬かどうかは、坂道チャレンジで良く分かりましたね。


 4足の運びに正解が決まっているわけではなく、重心やスピード、足の跳(は)ね方によって変わりますが(*3)、まずは左右も前後もタイミングを90~180°ずらしてみましょう。



片足ずつ、後ろ足のゴム(グロメット)で上手に地面を蹴(け)ることができれば進むでしょう(*4)。
また、バランス(重心)や足(前後)の運び方、グロメットの取り付け状態など、左右で違いがあるとまっすぐ歩きませんので、注意します。

うまくいけば、トコトコと愛らしい小走りが見られます。
電池が弱いとヨボヨボの老犬に見えました。


*1 位相(いそう)と呼び、角度 0~360°で表します。

*2 ギアLのペグ穴には、内側の穴(中心に近い)と外側の穴(中心から遠い)があり、テキストでは外側にペグを挿していますが、内側に挿すと、足の動きが小さく、小股(こまた)歩きになります。
 スピードが遅くなるので、力は増え、坂道を上る時や綱引きに有利です。

*3 同じ動物(犬)でも、スピードによって4足の運びを何種類も使い分けていることがテキストp.21のイラストで分かります。

*4 足を後方へ運ぶ瞬間が速くなるようなスイッチの向き(テキストp.16)に入れます。
 ただし、ペグSを4足分ともギアLの内側の穴に挿すだけで逆向きに変わったりして、進み方を予想するのはとても難しいので、いろいろ試して観察しましょう。


1.3 <ミドルコース『ウォールフォロワー』>


 壁伝いロボットという意味です。
右回り専用ながら、前方の右側面から生えたガイドバー(昆虫っぽいので、触角と呼びます)が段ボールなどの壁面を正確にたどりながら周回します。

単にずっと右に曲がろうとしている結果じゃない?

そういう声もあります。
確かに、あまりにうまく壁を伝うので、そういう風にも見えます。
まるで、マイコンで周回路を認識した自律型ロボットみたいです。

 実際のところ、このロボットは、左タイヤはずっと回転したまま、右タイヤを回転させたり止めたり制御することで、直進右旋回(せんかい)の2つのモードを自動的に切り替えているのです。

制御機構は、壁面に押されて引っ込んだり、壁面から離れると輪ゴムの復元(ふくげん)力で元の位置まで出っ張ったりする触角が、右タイヤへの動力を断続させるクラッチレバーのような働きを担(にな)うことで実現しています。
これは面白い!(*1)

 輪ゴムの掛け方が強すぎると、まっすぐな壁を沿うにも右旋回モードが解除されず、壁に正面を向けて行き詰まるか、触角を擦(す)り付けるようにたどたどしく進みました。

逆に弱すぎると、直進モードから右旋回モードに移行しにくくなり、コーナーを過ぎても直進し続けるか、反応が鈍くて大回りしてしまいましたね。

自重(*2)と走行スピードに見合った輪ゴムの復元力が、壁面への追従性を決めていました。




 最後の競技は、名付けて『ウォールフォロワーGP』!
開いた段ボールをひし形に潰して床に固定し、鈍角(どんかく)と鋭角(えいかく)コーナーのでき上がり!
右回りに周回するタイムを計測します。

直角(90°)や鈍角(>90°)はスマートに曲がれても、鋭角(<90°)ですぐに曲がり始めると、右タイヤが引っ掛かってタイムをロスします。
輪ゴムを緩(ゆる)めに掛け、少し遅れて大回りする方が早く曲がれるというのが、セッティングの要(かなめ)なのでした(*3)。

正に『急がば回れ』!


*1 このロボットを初めて見た先生も感心しましたが、同様に工学畑(オタク?)の大学生講師らも本アイデアに唸(うな)ることしきりでした。
 機械式の単純なメカニズムで高度な制御を実現する“機能美”にくすぐられているのです。センスある君も感動したよね!?

*2 作用・反作用の法則により、マシンの横方向の摩擦力(=重さ×タイヤの摩擦係数)以上には触角を壁面に押し付けることはできません。
 つまり、輪ゴムを強く掛けすぎると、触角が押し込まれずに(右旋回モードのまま)壁に寄せ(タイヤをスリップさせ)続けようとし、ギクシャクします。



*3 タイヤをぶつけないよう、曲がり角を少し過ぎてからターンするなんて、サイコーにクールです!
 他に、触角を延長したり、ガイドローラーをマイタギアから直径の大きなギアLに換えたりして壁面からの距離を空け、コース取りを大回りにした工夫も見られました。










1.4 <アドバンスコース『ロボエレファン』>


 2ヶ月目の授業にして、従来アドバンスコースの最終月となりました。


7月にライントレーサ九州地区予選への取り組みを優先したこともあり、消化不良となりましたが、
本来は、ボール前で自動停止し、音に反応してシュートする象型サッカーロボを組み上げ、PK戦に持ち込む流れです。

 ボールをシュートするのに、ロボット前面でただ押すのではなく、ちゃんと蹴るアーム(*1)を組み付けます。


このため、ライントレーサ型の左右2モーター切替駆動を止め、前進とアームの駆動に別個のモーターを割り当てます。
直進のみになりますが、光センサーを用いて、黒ラインの“上”にいる間だけ前進し、ラインが途切れた位置で自動停止させます。
このような光センサーの使い方もあるのですね。



 アーム部は、音(拍手)を合図に蹴り出し、所定のタイミングで「カチッ」と鳴る機械音に反応して自動終了するよう音センサーを組み付けましたが、機械音の出方とセンサー感度とのマッチングが難点でしたね。

さらに、音センサーのジャック(出力)に光センサーのプラグ(電源入力)を繋ぐ構成により、走行停止と共に自動的にアーム動作に移行する工夫(*2)がされています。

 この完成した一連の動作を列挙すると、
1) ロボエレファンを黒ライン上に置き、スイッチを入れる
2) 手を叩くと走り出す
3) 黒ラインが途切れた所で自動停止
4) 走行停止と同時に、アームを所定位置まで引き戻してから自動停止
5) 手を叩くと、輪ゴムの力でアームを蹴り出し、目前のボールをシュート
6) そのままアームを所定位置まで引き戻してから自動停止

どうです?
光センサーや音センサー単体では大した機能を持ちませんが、これらとモーター2個の結線関係、および、機械的な動きに工夫を凝らすことで、マイコン・プログラミングに頼らずとも、ここまで高度な処理ができるのですよ。

 いや、世の流れは、マイコン・プログラミングです。
結線関係なんかに悩まず、光センサーも音センサーもモーター2個も全てマイコンに繋げれば、あとは 2)~6) をプログラミングするだけです。
シュートするタイミングや回数など、もっと自由かつ簡単に変更できます。

現代の電化製品(その昔はマイコンで動いてなかった炊飯器や洗濯機など)も、プログラムで思うがままに動かせるから、多機能な割に設計が簡単です。

 というわけで、9月からアドバンスプログラミング(アドプロ)コースに変わりますが、皆さんに肝に銘じておいて欲しいことがあります。

それは、与えられた部品が何をしてくれるかではなく、利用できる機能の組合せで何ができるかを考えることが、とても大事ということです。
(例えば、全国大会アイデアコンテストへの挑戦)

実は、世の中のあらゆる複雑な処理系(機械や電子システム)も、ごく単純な機能要素を多数組み合わせて動作しています。
ブロックで作るロボットのみならず、コンピュータの動作原理もそうですし、我々の脳ミソだって、そうかもしれません。

 確かに、マイコン・プログラミングでの機能実現は難しかったことを簡単にしますが、もっと凄いこと(究極、人間と将棋や会話をするAI)をやろうとした時など、プログラミングの最中にも同じようなこと(どのプログラム部品をどう組み合わせるか)が問われます。

それは、これまでのロボット教室と変わらない点です(*3)。
今後のテキストで、いろんな面白いロボットが紹介されますが、真似るべきところは真似て、自分なら何が作れるか、アイデアを温めながら授業に臨んでください。


*1 アームと呼ぶと“ハンド”を取られそうですが、ブルドーザーのバケットに見えても、本ロボットは象がモデルですので、そう呼ぶわけにもいきません。
 前足はタイヤだし、鼻は別にあるし、牙ですかね…。

*2 光センサーには出力端子が2つあり、黒/白判定に応じて通電する端子が切り替わる機能を利用しています。
 アームの停止には、スイッチOFFか、音センサーの反応が必要なことは変わりません。

*3 佐藤や中野は、幼少からのプログラミング学習が必ずしも思考を豊かにするわけではないと思っています。
 ハードウェア(リアル)上の工夫の泥臭さを知らず、ソフトウェア(バーチャル)的解法しか思い付かなくなる面では、寧ろ邪魔です。
 ブロックキットで経験を積み、算数が数学に変わる学齢になって、抽象的な思考能力も備わってきた皆さんには、良い刺激となるでしょう。


1.5 <プロ2年目コース『アームロボット(2)』>



 サーボモーター式アームロボット2ヶ月目の授業です。

 1日目は、無線コントローラー(ゲームパッド)を使って手動操縦します。

主に2種類の制御プログラムが登場しました。

1) [ArmRobot2/ArmControl]
 アーム部の開閉に2個(S0,S1)、ベース部の旋回に1個(S2)、ハンド部の開閉に1個(S3)の、計4個のサーボモーターを備えていますから、これらの回転角を、左右アナログスティックの上下および左右傾倒量に対応させて、独立に制御する方式です。
 アームロボットの「どのモーターをどちらに動かすか」だけの制御ですから、プログラムもシンプルで分かり易いのですが、S2, S3 はそれで問題ないとして、S0(肘=ひじ)と S1(肩)の「どちらをどれだけ動かせばハンド部を目標の位置にリーチできるか」は熟練の技が必要で、操作性はイマイチ良くありません。

 サーボモーター制御命令は、VarSpeedServo::write(角度) です(*1)。


2) [ArmRobot3/semiAutoArm]
 半自動という名のプログラムです。手動操縦ながら、自動支援制御を行なっています。
 先ず、S2(旋回)は独立のまま変わりませんが、S3(ハンド開閉)がボタン一発動作になっています(*2)。
 次に、S0(肘)と S1(肩)が協調動作し、ユーザーはハンド部の高さ(z)と、中心からの水平距離(d)に集中して操作できるようになりました。
 移動中は、高校数学の三角関数(余弦定理)(d, z) を満たす S0 と S1 の回転角を絶えず計算し続けています。
 これにより、一定の高さで水平移動したり、水平位置を変えずに高さだけ変えたりすることができ、より細かな仕事に向きそうです(*3)。

 ハンド開閉命令は、ArmRobot::gripperCatch() / gripperRelease() です。
 位置制御命令は、ArmRobot::setPosition(水平距離, 高さ, 旋回角度) です。
 これらの中で、各サーボモーターの回転角を計算し、VarSpeedServo::write(角度) を呼び出しています。



 2日目は、自動操縦に挑みます。
といっても、[ArmRobot3/AutoArmCatch] のように、setPosition() を書き連ねれば簡単ですね。荷物の自動搬送クレーンができちゃいます(*4)。

 “自動書記”[ArmRobot4/draw*] を試しましょう。ハンド部を外し、ペンホルダーに付け替えます。


テキストに説明がありませんが(*5)、setPosition(水平距離d, 高さz, 旋回角度r) は、dを半径とした円(柱)座標系の位置制御関数です。
紙面に文字や記号を書くときは、中学数学で慣れ親しんだXY直交座標系で座標(x, y)を指定したいですね。


心配ありません。ArmRobot::traceLine(始点座標, 終点座標) により、始点終点を結ぶ直線(線分)上を移動してくれます(*6)。
このとき、ArmRobot::penDown() しておけば線を引き、ArmRobot::penUp() しておけばペンが空中を飛びます。


各座標のデータ、つまり(x, y)2値の集合は、2 × P_NUM(頂点数)分の多次元配列 point[P_NUM][2] に格納しています。
これと、ペンの上下動データ配列 pen_status[P_NUM - 1]for文で順次読み取りながら、自動書記が進行します。

 プラスチック製長いアームを付け根のモーターで振り回すので、精度はイマイチですが、大きめに書けば鑑賞に堪えますかね?!


*1 ライブラリ名::関数名() の意です。クラス名::メソッド名() とも呼びます。

*2 全力で掴もうとしますので、卵は割れちゃうかもしれませんね。

*3 人間がさっと腕を伸ばして物を掴めるのも、赤ん坊の頃から肩や肘など複数の関節を協調させる動作に熟達してきた証です。

*4 まだセンサー入力によるフィードバック制御を搭載しておらず、危険ですが…。

*5 それどころか、XYZ直交座標系の関数であるかの如く誤った図解があります。申し訳ありません。

*6 三平方の定理・三角関数で(x, y)を(d, r)に座標変換し、setPosition() を呼び出しています。


2. 今月の課題


 <スタートアップ>
  特にありません

 <プライマリーコース>
  - オリジナル図面プリント

 <ベーシックコース>
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  - 上記授業内容を精読する(概ね3年生以上/低学年は補助の下で)

 <ミドルコース>
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  - 上記授業内容を精読する

 <アドバンスコース>
  - オリジナル課題プリント(見取図+設問)
  - 上記授業内容を精読する

 <プロ2年目コース>
  - 上記授業内容を精読する(該当テキストページを見ながら)
  - 自動書記プログラム用の文字を方眼紙にデザインし、座標データを抽出する


3. 今後の授業スケジュール


 中 間ミドル時間を11月~変更(15:15→15:30)させて頂きます。
 東福間ミドル時間を12月~変更(10:30→15:30)に極力ご協力下さい。

 日付の()は臨時、!は原則外、?は予定の意です。

――――――――――【佐藤教室長】――――――――――

[東福間]第1・3土原則
 (~2017年11月)
   - 10:30~ ミドル/アドプロ
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
  (- 15:30~ ミドル/アドプロ第2部)

 (2017年12月~)
   - 10:30~ アドプロ(/ミドル臨時)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル(/アドプロ臨時)

 (2018年4月~予定)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒ 9/2, 16,  10/7, 21,  11/4, 18


[東福間プロ]第2・4日原則
   - 12:45~ プロ2年目
   - 15:30~ プロ3年目

 ⇒ 9/10, 24,  10/8, 22,  11/12, 26


[中間]第2・4土原則<なかまハーモニーホール>
 (~2017年10月)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:15~ ミドル(/アドプロ振替)

 (2017年11月~)
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒ 9/ 9 第1回 3F会議室4(和室)
   9/23 第2回 3F会議室2
  10/14※, 28,  11/11, 25

 ※10/14はハーモニーホール利用不可の為、代替施設(未定)で開催します。


[小倉北]第1・3日原則<ムーブ>
   - 10:00~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル
   - 15:00~ アドプロ/ベーシック第2部

 ⇒ 9/ 3 第1回 5F小セミ
   9/17 第2回 5F小セミ
  10/1, 15,  11/5, 19


――――――――――【菅本教室長】――――――――――

[とばた]第2・4土原則<ウェルとばた8F>
   - 13:00~ 全コース(プロを除く)

 ⇒ 9/9, 23,  10/14, 28,  11/11, 25


――――――――――【中野教室長】――――――――――

[八幡東]第1・3土原則<レインボープラザ4F>
   - 13:30~ ベーシック
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドプロ

 ⇒ 9/2, 16,  10/7, 21,  11/11!, 18


[小倉南]第2・4日原則<総合農事センター2F>
   - 10:30~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル  /アドプロ

 ⇒ 9/10, 24,  10/8, 22,  11/12, 26


4. お知らせ

1) ロボット教室 全国大会
  8/26(土) 全国大会の模様をライブ動画でご覧になりましたでしょうか。
 今年度よりプライマリーコース部門も新設され、1000人を超える観客の中、立派にスピーチした年長さんの姿も見られました。

  九州地区からは、吉良拓真君(小倉南教室)が特別賞を受賞しました。
 全国大会に選ばれるだけでも凄いですが、更に賞を頂くとは本当に素晴らしいことです。

  来年度を見据えてですが、テキストに似た作品をエントリーすると、全国大会は厳しそうです。
 ベーシック・ミドルコースでは、ギアの仕組みを利用して、動きが大きく変化するようなものが主流となっておりました。
 動物や昆虫、モグラ叩きゲーム機など、動きに特徴があるものを考えて製作すれば、全国大会出場のチャンスが広がると思います。

  アドバンスコースはプログラミング化しますので、どのように変化するか分かりませんが、近年の受賞歴を見れば、何かが作れるロボット(今年はミサンガ、昨年はコピー機など)が評価され易いでしょう。

 全国大会2017の結果を記します。

【MVP】
 大阪・狭山池前教室 花園明良君 小4「ロボットはしご車」(ミドル/昨年のベーシックに続き2連覇!)

【テクニカルコンテスト】
 優勝 岐阜・西可児教室      熊谷拓海君 小5
 2位 和歌山・和歌山ビッグ愛教室 中尾 航君 中3(敗者復活)
 3位 埼玉・越谷中央教室     大島壮太君 小6

【アイデアコンテスト】
■最優秀賞
 プライマリー 愛知・大高青山教室 勝又皇晴君 年長「はっしーくん」
 ベーシック  大阪・狭山池前教室 田中良和君 小4「弓引きロボット」
 ミドル   神奈川・鷺沼駅前教室 宮下陽人君 小6「バトルロボット」
 アドバンス  東京・高砂教室   竹田侑平君 中1「高速回転式ミサンガ製造ロボット」

■ヴイストン特別賞
 愛知・名古屋西下萱津教室 加藤仁悠君 小6「うちわコントロールカー」(ミドル)
 愛知・大高青山教室    柘植奏汰君 小6「桃太郎誕生ロボ」(ベーシック)

■変なホテル特別賞
 愛知・豊成教室 田中桃子さん 小4「ドレミロボット」(ベーシック)

■ハピロボ特別賞
 福岡・小倉南教室 吉良拓真君 小6「チクチクサソリロボット」(ミドル)

■シャープ特別賞
 愛知・東山公園教室 福岡東馬君 小5「グローブロボット」(ミドル)

■ヒューマン特別賞
 宮城・仙台上杉教室 高橋星凪君 小2「ベガスロボット」(ベーシック)アドプロキット贈呈
 滋賀・石部教室   森地脩翔君 小4(テクニカルコンテスト第4位)ロボプロキット贈呈


2) アドバンスプログラミング(アドプロ)コース開始
  9月~東福間・八幡東・小倉北・小倉南アドバンス→アドプロ編入に続き、
 11月~中間でも新設します。振替にご利用下さい。

 2年間コースですが、途中の時間変更はない予定です。

 アドプロ進級・編入の方は、ロボットをプログラミングするためのマイコン、タブレット端末など、追加キットが支給されます。
 別途ご案内の通り、追加キット代をご負担下さい。

 お月謝は下記の通りです。初月はスタートアップ講座(SU)が必須となります。
 ◆初月  …9,720(授業料)+648(SUテキスト代)=10,368円
 ◆次月以降…9,720(授業料)+324(隔月テキスト代)=10,044円/月


3) オリジナル電子工作講座『RCドレミ』
 昨年8・10月に続き、今年も北九州イノベーションギャラリー(KIGS)で8/22-23両日に開催し、早々に満席を頂き、盛況裏に終了しました。
 https://www.kigs.jp/event/2017/06/212.php
 (公平性の為、ご案内を控えました)

 ご要望がございましたら、9/30(土), 10/29(日)での開催を検討させて頂きます。
 受講料は7,500円程度になります。また、新ネタを披露できるよう鋭意努力中です…


4) 7月課題 高得点者
 全国大会への取り組みを奨励し、7月の図面・設問プリントは休止しました。


東福間・中間・小倉北教室 佐藤 / 八幡東・小倉南教室 中野