2016年4月30日土曜日

4月授業内容

1.4月授業内容
2.今月の課題
3.今後の授業スケジュール
4.ひと言


1. 4月授業内容


1.0 <スタートアップ/プライマリーコース>



 割愛します。


1.1 <ベーシックコース『ケンドーロボ』>



 文字通り、剣道のように竹刀(しない)を振るロボットです。
剣道には、ここぞという時に、前進と「面!」の2つの俊敏な動きが必要です。

 1日目では、モーターで左右両輪を駆動し、前進・後退できるようにしましたが、竹刀は手動で前後に振り動かせるだけです。
竹刀を自動的に振るには動力源動作タイミングを与えなくてはなりません。
2日目に解決します。

 動力源として、モーターを前進に利用してしまっているため、輪ゴム(の弾性力)を利用します。
前面に引っ掛けた輪ゴムが、竹刀を後方へ振り構えるほど引っ張られます。

動作タイミングとしては、背後に振り構えた竹刀を振り下ろさないよう固定するロックが、相手にぶつかった衝撃を検知して外れるようロック部品と一体化してスライドするバンパーを前部に取り付けました。
衝突して押し込まれるバンパーを利用する点が、先月の『う王さ王』と似ていますね。

 このロックがうまく外れるための工夫が設計されています。それは“スピード”です。
スピードがあればこそ、ぶつかった衝撃が大きくなり、ちゃんと検知できるのです。


だから、今回のロボットはちょろちょろと速く走り、捕まえるのが大変ではありませんでしたか?
設計上の違いは、モーター軸に取り付けるのがいつものピニオンギアではなく、もっと大きなギアMでしたね。
こうしてモーターの回転数を落とさずにタイヤに伝え、速く走らせていたのです(*1)。



 最後の競技は「一本!」勝負。早く竹刀を振り下ろし、相手に当てた方が勝ちです。
バンパーを長くして早めに相手を検知し、それ以上に竹刀を長くしてリーチを伸ばすことが一つの指針ですが、あまり欲張ると重くなって、動作にキレがなくなりましたね。
案外、ノーマル仕様の小柄なボディの方が、体格のいい先輩たちを打ち負かしていました。

 なお、ケンドーロボ同士を対面させて、いざ取り組もうと発進させても、真っ直ぐ進まずに相手を打てないと悩むことがありました。

左右のタイヤは同一シャフトで直結しており、必ず等しく回転するので(*2)、一旦走り出した後はほぼ直進するのですが、最初の急加速する瞬間は、大きな力(タイヤのグリップ力)が地面にかかり、摩擦や重心バランスの関係で、どちらかのタイヤが多めにスリップしてしまうことが原因です。

底にパーツを付けて、地面との摩擦スリップバランスを取ることで直進したり、バランスを崩すことで曲がったりするようにも調整できましたね。


*1 同じ大きさのギア同士は、回転速度が同じに保たれます。このことを「減速しない」と言います。先月の『う王さ王』の改造例としても紹介しました。

*2 モーターのギア(出力軸)が右タイヤを先に回していることが曲がる原因と分析する人もいましたが、そうではなく、左右の重心バランスを崩している面が影響していると考えられます。


1.2 <ミドルコース『ロボバッター』>


 ピッチャーとバッターの2部構成です。
モーターは1つだけなので、その動力はバッターに譲って、ピッチングは輪ゴムを使います。
逆に設計することもできますが、この方がコントロールし易いのでしょう。

 ピッチャーロボ(ピッチングマシン)の構造は、中世の戦争で利用された投石器そのものです。
いろんな物を投げ飛ばして、飛距離を観察してみました。
そこそこ重い物(ギアの塊)で体積が同程度なら、軽い方が遠くまで飛びました。
限られた輪ゴムのパワー(弾性エネルギー)で加速させ易いためです。

同程度に軽い物(ボール状に丸めたA5用紙)なら、堅く丸めて体積を小さくした方が飛びました。
空気抵抗を受け難くなるためですね。

 さて、投げられた物をバッティングするのは至難の業です。
バットを振るタイミングの問題もありますが、そもそもピッチングが安定せず、同じ物を投げても飛距離がばらばら。
玉が加速中にバスケット(ピッチャーの手)の中で動いてしまい、飛ばす方向やスピードが変わるからと考えられます(*3)。
まして、バッティングマシンのスイッチを手動でオンにする1日目のロボットでは、全くと言っていいほど玉に当たりません。


 2日目にこれを自動化します。
電池ボックスから出たケーブルは、先ずはピッチャーに備え付けたタッチセンサー(黒)を経由させ、延長ケーブルを通して遠くのバッターに接続します。
こうして、ピッチャーが玉を投げ終わった瞬間にバッター内のモーターが回り始め、バットを自動的に振るようになります。

 さらに、いつまでもバットをぶん回し続けているのも格好悪いので、振り終わった位置にタッチセンサー(グレー)を備え付け、モーターを止めます。
これでバットを一回転分振るだけの、省エネ野球部になりました。

 電池ボックス ⇒ タッチセンサー(黒) ⇒ タッチセンサー(グレー) ⇒ モーター

のような直列接続により、両方のセンサーがオンになる間だけ通電する仕組みができ上がります。

 さて、肝心のバッティング精度ですが、ピッチングが安定しない中、タイミングだけは再現性を出せるので、二者間の距離や投球角度(*4)を調整すれば、5回中1回くらいは当てられるようになりました。
こうして我々人間は、機械化の恩恵に与(あずか)るわけですね。


*3 つまり、バスケットの中でぐらつかない大きさの玉にすることが、ピッチングを安定化するためのコツです。

*4 同じ初速度でも、投げ上げる角度によって飛距離が変わります。一般に45°が最も飛ぶと言われますが、実際は玉によって異なる空気抵抗を受けるため、40°前後になるようです。初速度と角度は、アームが止まった(ピッチャーの手を離れた)瞬間で決まります。


1.3 <ロボプロコース『オムニホイールロボット(1)』>


 春タームとして、オムニホイール(Omnidirectional Wheel;全方向車輪)ロボットを製作し、リモコン操縦するまでの1ヶ月目の授業です。

 1日目は製作です。
2層の円形ボードにモーター、オムニホイール、マイコンボード、無線モジュール、電池ボックスを組み付け、配線コネクタを差し込んでいきます。
殆どの作業がネジ留めですが、組み付ける順番の解決と、手先の器用さが要求されます。
日常において、あまり経験しない作業なので、悩みながらもパズルのようで楽しかったのではないでしょうか。


パソコンからサンプルプログラムを転送し、3つのホイールを指示通りの速さ・向きに回せることを確認して終了しました。

 2日目に、ゲームパッド(プレステ用と同等!)と無線通信リンクを確立し、パソコンからラジコンプログラムを転送すると、アナログスティック(*5)を倒した分だけの速さで前後左右に移動することを確認しました。

また、調整用プログラムを転送してロボットの動きを観察し、個体差(重心やホイールの摩擦力の違い)による進行方向のズレを補正するための調整値(*6)を割り出しましたが、これは今回の学習テーマの本質ではありませんので、あまり気にしなくて良いです。


 どのスティックをどれだけ倒したか、どのボタンを押したかにより、ロボット(3つのモーター)をどの向き(電流の+-)にどれくらいの速さ(電圧)で動かすかは、全てあなた(プログラム)が決めることです。
マイコンは、得意な計算・判断だけを、あなたに代わってあなたが決めたルール通りに素早く実行し、各部品に必要な命令(数値による指示)を間違いなく出してくれる便利な道具と考えてください。

 オムニホイールの特徴は、黒い樽型ローラーの作用により、普通のタイヤとしての進行方向(回転方向)とは垂直の横方向(ホイールの回転軸方向)にズルズルっと滑ることです。
このホイールが120°間隔で3つ装着されることにより、自由自在に移動・旋回できそうなことは分かりましたが、これを力学的・数学的にどのように捉え、プログラム上の数値にどのように反映すべきかについては、次回で学びます。


*5 アナログ(連続量)はデジタル(離散量)の対義語ですが、アナログスティックは、倒した向き・強さを -128 ~ 127 など、マイコンが扱いやすい整数(とびとびの値=離散量)に変換しているため、厳密にはデジタル式なのですが、ON/OFF判定だけの○×△□ボタンと違って、最小値~最大値を十分細かく刻んで表しているため、人間には滑らかな連続量で制御しているように感じられます。

*6 プログラム上の調整値“0.9f”などは、数学でいう実数(連続量)に相当し、細かな小数で計算するための拡張された表現方法ですが、これもマイコン内部で扱う以上、厳密にはデジタル値(離散量)です。


2. 今月の課題

 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <スタートアップ/プライマリーコース>
  特にありません

 <ベーシックコース>
  ○ 4面図スケッチ(専用方眼紙)
  ○ 見取図スケッチ(テキスト最終ページ/難しければ写真の模写から)
  ○ 上記授業内容を分かるまで音読する
   (概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)

 <ミドルコース>
  △(長尺につきスケッチ免除)
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <プロフェッサーコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
  ◎ テキストp.24のサンプルプログラム[Remote2]をベースに、次の機能を実装する
   ・「高速モード」よりも俊敏な「超高速モード」を追加する
   ・安全対策の為、L1/R1ボタンの両押し時に「超高速モード」に入る


3. 今後の授業スケジュール


[東福間]第1・3土
   -  9:00~ 理科実験・中級
   - 10:30~ ロボ・ミドル
   - 13:30~ ロボ・ベーシック

 5~7月は原則通り、8月は7/30, 8/20の予定です。


[東福間プロ]第2・4日
   -  9:45~ ロボ・プロ1年目

 5月は5/15, 29です。6・7月は原則通り、8月は8/7, 28の予定です。


[中間]第2・4土
   - 13:30~ ロボ・ベーシック/プライマリ

 ・5/14 第1回 2F会議室1
 ・5/28 第2回 3F会議室3

 5~7月は原則通り、8月は8/6, 27の予定です。


[小倉北]第1・3日
   - 10:00~ ロボ・ベーシック
   - 13:00~ ロボ・ミドル
   - 15:00~ ロボ・ベーシック第2部(5月~)

 ・5/ 8 第1回
 ・5/22 第2回
  10:00~ 5F小セミ(ベーシック/プライマリ)
  13:00~ 5F小セミ(ミドル)
  15:00~ 5F小セミ(ベーシック/プライマリ第2部)

 ・5/29 第2回 臨時
  10:00~ なし
  13:00~ 4F和室(ミドル by 八幡東教室 中野先生)
  15:00~ 4F和室(ベーシック/プライマリ)

 プライマリは幼児向け6ヶ月コースです。
 6・7月は原則通り、8月は7/31, 21の予定です。
 7月はムーブフェスタの為、6/2まで確定できません。代理施設での開催となる可能性があります。


4. ひと言

 太い協力関係にある八幡東教室の中野先生と、『マイコン・電子工作・プログラミング』をタネにした臨時講座を開けないか、検討を始めます。
高度なプロフェッサーコースまでいかなくても、小学生が気軽に作れて、感動できて、持ち帰れる…そんなワクワクする講座を考えます。
 たまにはブロックを離れて、また違った視点からロボットを捉え、センスを磨いてプロコースに進んで頂けたらとの思いで、このGWに模索します。


東福間・中間・小倉北教室 佐藤

2016年3月28日月曜日

3月授業内容

1.3月授業内容
2.今月の課題
3.今後の授業スケジュール
4.ひと言


1. 3月授業内容


1.0 <スタートアップ/プライマリーコース>


 割愛します。


1.1 <ベーシックコース『う王さ王』>


 “右往左往”をもじっていますので、この四字熟語を知っていれば動作は想像に難くなかったでしょう。

赤色に目立つ巨大なバンパーを前後に装着した四輪車が、どうも前後(横から見れば左右)の壁にぶつかる度にスイッチバックして、行ったり来たりを繰り返すようだ、
とまでは予想できましたが、1日目のテキストでは、「スライドスイッチを手動で切り替えて実現するのは大変だね」で終わり、核心部分はお預けです。


 2日目でようやく、衝突で押し込まれるバンパーがスライドスイッチを反転させる機構を組み付けました。
しかし、中には下記のポイント【レベル1・2・3】が未解決のため、最後までうまく動作しなかった例も散見されました。
リニューアルされたばかりのスライドスイッチの個体差による場合もあります。
レベル毎に順を追って、解決していきましょう。

【レベル1】最低限…
 1) テキストを良く見て、正確に作ること(絶妙に設計されており、自己流では困難)
 2) スライドスイッチのツマミを挟む部品をしっかり組み付けましたか?(ぐらつくようではダメ)(*1)

【レベル2】スライドスイッチが硬い人は…
 3) スイッチを数十回左右に切り替えて、少し柔らかくする(モーターを外して!)


【レベル3】壁から受ける衝撃を強めるために…
 4) 摩擦を減らす(タイヤをゆるめる)
 5) スピードアップ(電池4→5本)
 6) 重くする(荷物をのせる・ぐらつかないように)(*1)


【レベル4】それでもダメなら、もっとスピードアップ!
 7) モーター軸のピニオンギアをギアMに交換する(ベベルギアの横のブッシュ2つを外せばかみ合うはず)(*2)
 8) 左右に走らせる幅を広めにとる(加速に時間がかかる)

【レベル5】それでダメでも、まだある!
 9) 硬いスイッチを弱い衝突力でも動かせるようにするには…?(てこの原理)(*3)

どうです?「ダメだー」と思っても、これだけ、いや、まだ他にもありそうです(*4)。
【レベル2・3・4・5】どれか1つでもOKかもしれません。
特に【レベル4】は簡単にできますし、これで動作しないことは無いでしょう。


 授業中、最後まで諦めずに何とか動かそうと奮闘した生徒さんほど、目からウロコなのではないでしょうか。
解決方法が身に染みると思いますので、ロボットを壊す前に、是非トライしてください。

 本来、【レベル3】を自ら考案するのがミドルコース進級レベル、【レベル4】がミドルコース内レベル、【レベル5】がアドバンス進級レベルです。
自分の改造力にしてください。


*1 “ぐらつかない”ことは、大事なポイントです。衝突エネルギーが“ぐらぐら”で失われるからです。自動車のエンジンルームがつぶれやすく、車内への衝撃を和らげるのとは逆の考え方です。

*2 ピニオンギア(歯数8)をギアM(歯数24)に替えるので、3倍の増速になります。実際は摩擦のせいでそこまで速くなりませんが、かなりスピードアップします。

*3 大幅に作り変える必要があるでしょう。

*4 例えば、走行中に輪ゴムを巻いて、スイッチ切替用エネルギーとして補助的に使うなど。


1.2 <ミドルコース『ロボアーム』>


 ミドルコース中、1・2番を争う傑作に位置付けたい、摩訶不思議なロボットが巡ってきました!


 動力はいつも通り、スイッチ付きの電池ボックスに繋いだモーター1個です。
手元で制御できることはせいぜい、スライドスイッチを反転させることくらいです。
なのに、スイッチを入れると、
1) 垂れ下がったハンド(アームの先端)が物を掴む
2) アームを水平まで持ち上げる
3) アーム全体が回転して反対側へ運搬する
の順に動作します。

所望の位置で止め、今度はスイッチを反転させると、先程の逆順ではなく、
4) 先ずはアームを降ろし
5) ハンドを開いて荷物を離し
6) アーム全体を元の側に回転して戻す
という一連のクレーン操作を熟練したかのようにこなすのです。

スイッチを入れている間、モーターはずっと一方向に回り続けているだけです。不思議ですね。

 これは言わば、バイクがアクセルをあおり過ぎてウイリーしてしまうのと同じ原理です。
バイクのエンジンが生み出した力は、バイク全体を加速させることと、
前輪を浮き上がらせることの2方向に使い道が残されているのです(*5)。
力の逃げ道といった方が感覚的には分かり易いでしょう。

通常は、ウイリーよりも小さい力で済む加速だけに使われますが、
「物体は素早く加速させようとするほど大きな力を要する」慣性の法則(*6)により、あまりに強大な力にとっては、ウイリーさせる方が“”なのですね。

 ロボットアームでは、慣性の法則は殆ど効いていませんので、負荷(アームに掛かる重力や、ジョイントの摩擦)の軽い順に可動範囲を使い果たし、力が次々と逃げ道を探すのです(*7)。


実際、3段階目のアーム回転動作が軽すぎて、2段階目の持ち上げ動作をスキップしたり、並行動作したりするなど、不安定になる場合がありましたが、
・ 土台と回転アームの間に輪ゴムを挟む
・ アーム自体を装飾して重くする
ことで摩擦を稼ぐと、スムーズに動作しました(*8)。


 最後の競技は、勿論、荷物搬送!
ロボットの片側エリアから、用意した荷物(タイヤSホイール等)を掴んでは、アームを180°回した先に降ろすことができた回数を競いました。

単純に思えたスイッチの反転操作に手間取る(必ずしも逆順に動作しないので、細かなやり直しが難しい)一面もあり、3分間で9回が優勝記録(小倉北教室)でした。


*5 接地状況により、ホイールスピン(タイヤを路面に擦り付ける)を3つ目に数えることもできます。

*6 高校物理で学ぶ、〔力=質量×加速度(F = m・a)〕です。

*7 アームの「上げ・下げ」に必要な力は重力が大きく関係しますが、ハンドの「掴む・離す」はほぼ同じ力で済みます。だから、「掴む→上げる」の順だし、「下げる→離す」の順になるのです。アームの旋回には、これらより大きな抵抗(摩擦力)が働けば、動きの順序に一貫性が生まれます。

*8 〔摩擦力=摩擦係数×荷重〕なので、輪ゴムと、重くすることの両方が効果的です。氷上では重たい力士でもツルツル滑ってしまいますよね。


1.3 <ロボプロコース『不思議アイテムII(3)』>


 冬タームの最終月を「ウルトラソニックロボット」で仕上げます。

 自律型ロボットといえば、障害物や段差を感知して、衝突や落下を回避しながら進むものを先ず想起するのではないでしょうか。
お掃除ロボット『ル○バ』などもそうですね。

感知に最も良く使われるのが、この超音波センサーです(*9)。
イルカやコウモリ等の生物から魚群探知機まで、反射音(方向・時間・強弱・周波数)の状態や変化を探ることで、視覚の代わりに(時にはそれ以上に)なるのです。

反響定位(エコーロケーション)と呼ばれますが、本ロボットや一般の障害物センサーでは、そこまでの解析能力はありません。
特定方向の(一定以上の大きさの障害物から)反射音が返ってくる時間(=距離)だけを計測しています(*10)。

 1日目では、2つのセンサーを別々にモニターすることでの可能性を垣間(かいま)見ました。
センサー1つでも、手をかざせば近寄り、近づけすぎると後ずさるなどプログラムできますが、両目のように左右に並べれば、左右の(状況の違いが分かる)感覚を生み出せます。

左右での感知距離(dist1, dist2)の差に応じて旋回させれば、かざした手の方向にフラフラと追跡するまでになりました[step3]。
しかし、2つの距離情報を扱うのは、プログラムの条件文(判定式や分岐)が複雑になります。


 2日目では、センサー1つを様々な位置に取り付け、プログラムを適応させることで、
・ 障害物を避けるロボット[avoider]
・ 机から落ちないロボット[nofall]
・ 机の端を沿うロボット [tablerunner]
壁ぎわを沿うロボット [walltracer]
が実現できることを経験しました。
あの『ル○バ』に勝るとも劣らず、生き物らしく見えたでしょ?


 センサーで拾うたった1つの値と、それを条件に動作を分ける論理(プログラム)とで、これだけの(これ以上の)ことができます。
どれも、プログラミングのレベルに大差ありません。


ちょっと難しく見える“おまじない”や数値処理上の工夫(*11)がありますが、核心の論理“if(条件) {動作1;} else {動作2;}”は、非常に単純明快で必然的なものです。

もっと場合分け(条件分岐)したければ、“if(条件1) {動作1;} else if(条件2) {動作2;} else if(条件3) {動作3;} else {動作4;}”等ですね。

怖(おじ)けずに、自分のロボットにを吹き込んでみてください。
君こそがフランケンシュタイン(怪物の創生者)であり、鉄腕アトムのお茶の水博士なのですから。


*9 GHz級クロックの電子回路など、技術の発達した現在では、光(電磁波)を用いたレーザー距離計やGPSセンサーも安価に手に入るようになりましたが、生物の感覚器官ではとても追いつけません。視覚が光を利用するのとは別の話ですよ。

*10 音の伝わる速さとして、空気中で340m/秒、水中で1500m/秒を覚えておきましょう。

*11 dist/=10; または dist=dist/10; で dist値 1~99[cm] を 0~9(整数) に粗くし、大雑把に扱えるようにしています。例えば、if(dist==1) と書くだけで 10~19[cm] の範囲を指定することができるようになります。


2. 今月の課題

 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <スタートアップ/プライマリーコース>
  特にありません

 <ベーシックコース>
  ○ 4面図スケッチ(専用方眼紙)
  ○ 見取図スケッチ(テキスト最終ページ/難しければ写真の模写から)
  ○ 上記授業内容を分かるまで音読する
   (概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)

 <ミドルコース>
  ×(長尺につきスケッチ免除)
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <プロフェッサーコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
  ○ 単一距離センサーロボット[avoider/nofall/tablerunner/walltracer]のいずれかを改良し、ダブル距離センサーロボットとして、より洗練された動きを設計・実装する

   例えば、
   ・壁と壁の間を往復するプロ版“う王さ王”[avoider改]
   ・左/後退/右から安全な方向を選ぶ    [nofall改]
   ・左/直進/右を選びつつ崖っぷちを沿う  [tablerunner改]
   ・左/直進/右を選びつつ壁伝いに迷路を進む[walltracer改]


3. 今後の授業スケジュール


[東福間]第1・3土
   -  9:00~ 理科実験・中級
   - 10:30~ ロボ・ミドル
   - 13:30~ ロボ・ベーシック

 4~7月まで原則通りの予定です。


[東福間プロ]第2・4日
   -  9:45~ ロボ・プロ1年目

 4・6・7月は原則通り、5月は 5/15, 29 となります。


[中間]第2・4土
   - 13:30~ ロボ・ベーシック/プライマリ/4月スタートアップ

 ・4/ 9 第1回 3F会議室3
 ・4/23 第2回 2F会議室1

 4~7月まで原則通りの予定です。


[小倉北]第1・3日
   - 10:00~ ロボ・ベーシック
   - 13:00~ ロボ・ミドル
   - 15:00~ ロボ・ベーシック第2部(5月~)

 ・4/ 3 第1回
  10:00~ 5F小セミ(ベーシック/プライマリ)
  13:00~ 5F小セミ(ミドル/4月スタートアップ)

 ・4/17 第2回
  10:00~ 5F大セミ(ベーシック/プライマリ/4月スタートアップ)
  13:00~ 4F和室 (ミドル)

 プライマリは幼児向け6ヶ月コース、スタートアップは初月コースです。
 4・6・7月は原則通り、5月は 5/8, 22 となります。
 7月はムーブフェスタの為、6/2まで確定できません。代理施設での開催となる可能性があります。


4. ひと言

 3月はご転勤の時節でした。小倉北教室から4名もの生徒さんが転出されます。
寂しい限りですが、転属先の教室でも頑張って、いつかまた成長した姿を見せに帰ってきて欲しいと思います。


東福間・中間・小倉北教室 佐藤

2016年2月29日月曜日

2月授業内容

1.2月授業内容
2.今月の課題
3.今後の授業スケジュール
4.ひと言


1. 2月授業内容


1.0 <スタートアップ/プライマリーコース>


 割愛します。


1.1 <ベーシックコース『リトルドッグ』>


 愛犬ロボットと銘打(めいう)つ、4足歩行ロボットです。
側面で同じ向きに回転する4枚のギアL上に打つペグ(回転軸)の位置だけで、4足を運ぶタイミング(*1)をそれぞれ変えられるので、4足の運び方による進み方の違いを観察するのにうってつけの教材です。


 1日目の製作を終えた段階では、うまく歩けない子犬が続出しました。
特に、左右で足の動きが同じだと、おかしな仕草(しぐさ)になります。
回転するような屈伸運動になり、まるでEXILE風ダンスか、100円で前後上下に動く乗り物のようです。全く進みません。

 4足の運びに正解が決まっているわけではなく、重心やスピード、足の跳ね方(浮き具合)によって変わりますが(*2)、まずは左右も前後もタイミングを90~180°ずらしてみましょう。


片足ずつ、後ろ足のゴム(グロメット)で上手に地面を蹴ることができれば進むでしょう(*3)。
うまくいけば、トコトコと愛らしい小走りが見られます。
電池が弱いとヨボヨボの老犬に見えました。


*1 位相(いそう)と呼び、角度 0~360°で表します。

*2 同じ動物(犬)でも、スピードによって4足の運びを何種類も使い分けていることがテキストp.21のイラストで分かります。

*3 足を後方へ運ぶ瞬間が速くなるようなスイッチの向きに入れます。テキストp.16, p.18とはのようです…。


1.2 <ミドルコース『ウォールフォロワー』>


 壁伝いロボットという意味です。
右回り専用ながら、前方の右側面から生えたガイドバー(昆虫っぽいので、触角と呼びます)が段ボールなどの壁面を正確にたどりながら周回します。

 「単にずっと右に曲がろうとしている結果じゃない?」
そういう声も上がりました。
確かに、あまりにうまく壁を伝うので、そういう風にも見えます。
まるで、ICチップで周回路を認識した自律型ロボットみたいです。

 実際のところ、このロボットは、左タイヤはずっと回転したまま、右タイヤを回転させたり止めたり制御することで、直進右旋回の2つのモードを自動的に切り替えているのです。

制御機構は、壁面に押されて引っ込んだり、壁面から離れると輪ゴムの弾性力で元の位置まで出っ張ったりする触角が、右タイヤへの動力を断続させるクラッチレバーのような働きを担うことで実現しています。これは面白い!(*3)



 輪ゴムの掛け方が強すぎると、まっすぐな壁を沿うにも右旋回モードが解除されず、壁に正面を向けて行き詰まるか、触角を擦り付けるようにたどたどしく進みました。

 逆に弱すぎると、直進モードから右旋回モードに移行しにくくなり、コーナーを過ぎても直進し続けるか、反応が鈍くて大回りしてしまいましたね。

自重(接触した壁面が触角を押し込める力に関係する)と走行スピードに見合った輪ゴムの弾性力が、壁面への追従性を決めていました。


 最後の競技は、名付けて『ウォールフォロワーGP』!
開いた段ボールをひし形に潰して床に固定し、鈍角と鋭角コーナーのでき上がり!
右回りに周回するタイムを計測します。

直角(90°)や鈍角(>90°)はスマートに曲がれても、鋭角(<90°)ですぐに曲がるとタイヤが引っ掛かってタイムをロスします。
輪ゴムを緩めに掛け、少し遅れて大回りする方が早く曲がれるというのが、セッティングの要なのでした。

正に『急がば回れ』!


*3 このロボットを初めて見た佐藤も感心しましたが、同様に工学畑(オタク?)の講師陣3名も本アイデアに唸ることしきりでした。機械式の単純なメカニズムで高度な制御を実現する“機能美”にくすぐられているのです。センスある君も感動したよね!?


1.3 <ロボプロコース『不思議アイテムII(2)』>


 センサー類を駆使する、冬タームの2ヶ月目です。

 1日目のテーマは、「ベースロボットの組み立て」です。
何のことはない、左右両輪(2モーター)を独立駆動して、前進・後退・左右旋回を自在にこなす土台のロボットを製作します(*4)。


戦車型ラジコンプログラム[Tank]を転送して操縦したり、決まったコース(円・四角・8の字など)を自動的に走らせることはできますが、まだセンサー類が無いので、外界からの入力情報を基に“考える”ことはできません

 2日目のテーマが、「カラーセンサーロボット」です。


 その1つ目は、「ライントレーサー」です。
カラーセンサーを下向きに取り付け、地面の明暗(白黒)情報だけを処理し、黒いライン(の縁)をたどるロボット[Tracer]に仕立てます。
「白なら右へ、黒なら左へ」旋回するように片輪を交互に駆動する制御方式は、アドバンスコースのテクニカルコンテストと同じですね。

マイコンが認識する明度(明るさの数値)は、環境光反射率はもちろん、センサーの個体差電源電圧(*5)にも左右されるため、各々が白地と黒ラインとで数値をモニタリングし、その中間値を閾(しきい)値として設定する必要がありました。


 2つ目は、「カラートレーサー」です。
カラーセンサーをヘッドライトのように前向きに取り付け、前方景色の色相(色味)情報だけ(*6)を処理し、特定の色に向かうロボット[ColorTracer]に仕立てます。

サンプルプログラム中、色相 h を使って“if(h>180 && h<270) {前進せよ;} else {停止せよ;}”となっています。
これは、数学的には 180°<h<270°のことで、色相環(先月第2回テキストp.12)で確かめると“”ですね。
”なら“if(h>60 && h<150) …”くらいでしょうか。
”は難しいです。2つの変域 0°≦h<30°, 300°<h<360°がありますので、『もし(hが0以上 かつ hが30未満)または(hが300超 かつ hが360未満)ならば』のように論理的に記述しなければなりません。
if( (h>=0 && h<30) || (h>300 && h<360) ) …”となります(*7)。


走り方(タイミング、スピード、軌跡など)に変化をもたせて、好きな色を見ると近づいて行く愛らしいロボット(闘牛?)に仕上げてみましょう。
鳴く”と面白そうですね。

 最終月は、「ウルトラソニックロボット」で今タームを仕上げます。


*4 これだけで普通の自動車(1エンジン)を遥かに凌駕する自由度を獲得できるのですから、将来は電気自動車に替わっていくわけです。

*5 パソコンからのUSB給電の場合と、電池駆動とで数値が変わるという…盲点でしたね。

*6 1ドットカメラなので、人間なら瞼(まぶた)を瞑(つむ)ったまま外光の色を感じるようなものです。

*7 論理積(AND)演算子 && は、論理和(OR)演算子 || より優先順位が高い(先に演算される)ので、“if(h>0&&h<30||h>300&&h<360)…”と続けて書いてもOKですし、h=0~359の値しか取らないので、実は“if(h<30 || h>300)…”だけでもOKです。


2. 今月の課題

 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <スタートアップ/プライマリーコース>
  特にありません

 <ベーシックコース>
  ○ 4面図スケッチ(専用方眼紙)
  ○ 見取図スケッチ(テキスト最終ページ/難しければ写真の模写から)
  ○ 上記授業内容を分かるまで音読する
   (概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)

 <ミドルコース>
  ◎ 4面図スケッチ(専用方眼紙)
  ○ 見取図スケッチ(テキスト最終ページ)
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <プロフェッサーコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
  ◎ カラートレーサープログラム[ColorTracer]を改変し、
   赤(好き!)へ突進、青(怖い!)からはゆっくり後ずさり、
   それ以外では停止するロボットに仕立てる

   《ハイレベル挑戦》さらに、緑(臭い!)で旋回する動作を足せるかな?

   【注意】色は色相 h で表し、赤:h<15 or h>315、青:195<h<255、緑:75<h<135 等で与えます。動作を足すほど不意に動き回って危険ですので、特に後退時はスピードを抑え、忙(せわ)しすぎる場合は反応する色相範囲を狭めて(停止範囲を広げて)下さい。


3. 今後の授業スケジュール


[東福間]第1・3土
   -  9:00~ 理科実験・中級
   - 10:30~ ロボ・ミドル
   - 13:30~ ロボ・ベーシック

 3~6月まで原則通りの予定です。


[東福間プロ]第2・4日
   -  9:45~ ロボ・プロ1年目

 3・4・6月は原則通り、5月は 5/15, 29 となります。
 3/13は佐藤が出張の為、新下関教室 百合野先生、八幡東教室 中野先生が授業します。
 第2期生スタートアップは、3/19 9:00-11:00 です。


[中間]第2・4土

 4月~振替教室として供用予定です。


[小倉北]第1・3日
   - 10:00~ ロボ・ベーシック
   - 13:00~ ロボ・ミドル

 ・3/ 6 第1回
  10:00~ 4F和室 (ベーシック)
  10:00~ 5F企画2(プライマリ/スタートアップ)
  13:00~ 5F企画2(ミドル)

 ・3/20 第2回
  10:00~ 5F小セミ(ベーシック/プライマリ/スタートアップ)
  13:00~ 5F企画2 (ミドル)

 プライマリは幼児向け6ヶ月コース、スタートアップは初月コースです。
 3・4・6月は原則通り、5月は 5/8, 22 となります。


4. ひと言

 土曜日の教室が4月新規開講します。

・中間教室  第2/4土 13:30 他(なかまハーモニーホール/佐藤)
・八幡東教室 第1/3土 13:30 他(レインボープラザ/中野司先生)

 中野先生は時々ムーブに来てくれる先生です。勿論、振替協力します。
なかまハーモニーホールは、広い無料駐車場がやっぱり楽ですよ~。
(ホールイベント時は満車になりますが)
振替・転属ご希望は随時ご相談下さい。


東福間・小倉北教室 佐藤

2016年1月31日日曜日

1月授業内容

1.1月授業内容
2.今月の課題
3.今後の授業スケジュール
4.ひと言


1. 1月授業内容


1.0 <スタートアップ/プライマリーコース>


 割愛します。


1.1 <ベーシックコース『横綱ロボ』>


 力士ロボットです。1日目で基本形の製作は完了するものの、足を運ぶ度にヨタヨタと左右に上体を揺らし、足裏はツルツルと滑ります。
まるで慣れないスケートリンクで立ち往生する初心者のような、何とも頼りない横綱です。


 2日目にはシャフトを通して足幅を広げ、輪ゴムやグロメット(ゴム管)で摩擦力を稼ぎ、ようやく大地を掴(つか)んで歩む勇ましさが出てきました。

 途中、重たいモーターを低い位置に取り付けた基本設計を変え、脚をひょろ長くして重心を高くしてみましたが、
背が高くなって貫禄(かんろく)は上がるものの、転びやすくなって、相撲取りに大事な安定感はいまいちとなることも試しました。
力士が腰を低くして取り組むのも、重心を下げて倒れにくくするためですね。




 2日目最後の競技は、当然、相撲試合です!
土俵に見立てた丸椅子の上で両者をにらみ合わせ、「はっけよーい、のこった!」

どれも似たような動きしかしていないように見えて、テキストや先生の話をヒントに改良したロボットの方が強い結果を残す一方、
弱々しい力士は、バランスが悪くて勝手に転ぶか、足がツルツルですぐに相手に押し出されていました。

見た目の飾り付けばかりに気を取られ、太い眉を付けて“目力”を上げたり、立派なちょんまげを結っても強くはならないですよ。


1.2 <ミドルコース『ロボベーター』>


 今回はエレベーター! 時々登場する「ロボットというよりも…」シリーズで、毎回とても面白く感動モノです。

製作難易度は高くなく、学習ポイントもさほど高度ではないのですが、
このキットでエレベーターを考案し、アイデアコンテスト全国大会で最優秀賞を獲得した当時小学4年生のアイデアに脱帽です。

 見た目としては、エレベーターのかご(運動部位)が水平から少し傾いてしまいますが、
このことにより、駆動ローラー(タイヤ)をレール柱に押し付け、滑らないように摩擦力を稼ぐことができるのです。

このために、かごの重心を一方(モーター搭載側)に偏らせているとも言えます。
かごの重心バランス次第で、好みの摩擦力に調整できるということでもあります。

実際のエレベーターとは方式が異なることも学習しましたが、それは知識であって、
実物を模さないことで何より大事な創造力をいかんなく発揮したことが推し量れます。


 1日目では、下降し終えて床に付いてもモーターは唸りを上げたままになり、
上昇し終えると柱から外れて落下するという、“恐怖のエレベーター”!
実物なら絶対に乗りたくありません。


 2日目でようやく、タッチセンサーの働きにより、地上でも頂上でも自動停止する安心エレベーターになりました。
実物でも、年を追うごとにセンサー類が多くなって安全性が高まっています。

 最後の競技は、一部で品評会としました。その前に、プレゼン(テーション)ですね。
各自で改造や装飾をしたロボベーターの動作を見せ、機能や工夫点をアピールしてもらいます。

皆さん、発表に慣れていないようです。
各人に1分ずつ与えましたが、このような段になると急に押し黙ること!
「特にないです」「いや、普通に…」って、そんな筈はありません。

確かに、テキスト通りに製作しているだけでは、それが最終目的になって、随所にある工夫点に気付かない面があります。
オリジナルの設計を疑問に感じて、改変して、失敗して、成功して、新たな知見を築いていって欲しいと思います。


1.3 <ロボプロコース『不思議アイテムII(1)』>


 3ヶ月間の多脚リンクロボットを終え、新しいタームに入りました。
1ヶ月目は、マイコンの入出力として、音と光を操ります。


 1日目のテーマは、「超音波距離センサーを使う」です。
超音波とは、人間の耳には聞こえない、概ね20kHz以上(*1)の高い周波数の音を指します。
自然界では、イルカ、コウモリ等の生物が利用し、人工物では、犬笛や、魚群探知ソナーが代表的な利用例です。

利用目的としては、コミュニケーション対象物・距離感知(反響定位/エコーロケーション)に分けられますが、今回のはセンサーですので、後者の方です。
知ってはいても、実際に活用したり、制御したりしたことは無かったでしょう。

 超音波センサーが感知した障害物までの距離をLEDマトリクスに表示するプログラムを試したところ、センサーの個体差が大きく、遠方に向けても40cm前後を行き来する不安定なものから、安定して90cm超まで正しく判定するものまで、特性にばらつきが目立ちました。

安定したセンサーに恵まれた人の使命として、“泥棒アラーム”など、実用性の高い電子機器に仕上げてみてください。

 ここで、超音波で距離を計測する仕組みを理解したでしょうか。
目玉のような2個セットの円筒は、同じように見えて(*2)、一方は超音波を出すスピーカで、他方は反射音を拾うマイクです。

340m/秒で音が伝わる空気中において、1/1000秒後に反射音をキャッチしたら、対象物までの距離は 0.34m÷2=17cm ですよ。

 1日目の最後は、“テルミンもどき”プログラムで遊びます。
超音波センサーが捉えた距離 dist を用いて、“play(dist*20, …)”と記述すれば、22cmのときにラの音(440Hz)を出し、手を近づければ低く、遠ざければ高い音に変化させることができます。


テルミンとは馴染みのない楽器だったでしょうが、空中の手の位置で音程を操る点は共通です(*3)。
超音波センサーは2つ繋いでいますので、1つは音程用で良いとして、もう1つは実物と同じく音の大きさを変えたいところ、その能力は無いので、音の間隔の変更(連続音~断続音)を司らせています。
こうすることで、音の停止(聞こえないほど小さくする代わりに、間隔を無限にあける)を実現しています。

2つのセンサーが担う機能をいろいろ変えて(*4)、面白い楽器に仕立てて遊んで欲しいと思います。

 2日目のテーマは、「色で遊ぶ」です。
カラーセンサーボードを接続して、フルカラーLEDを任意の色に光らせたり(出力)、カラーセンサー(1ドットカメラ)で外光を撮影したり(入力)できることを確かめました(*5)。


 ここで、全ての色は“光の3原色”の混ぜ合わせで作り出せることを実験しました。
テレビ等の映像ディスプレイに採用されているRGBカラー方式の元になる原理です。

昔のパソコンが、モノクロ画面に代わり、カラー表示能力をもったばかりの頃は、赤・緑・青の各色を1ビット(0/1)信号だけで制御したため、2×2×2=8色(デジタルRGB)表示から始まりましたが、メモリやCPU性能の向上に伴って、2ビット64色、3ビット512色、4ビット4096色、6ビット26万色と多色(アナログRGB)表示が進み、現在は8ビット1677万色(フルカラー)が標準です。

 ここで、各原色(R・G・B)を多ビットで駆動するということは、例えば2ビットなら4階調(0%, 33%, 66%, 100%)の明るさで光らせることであり、その制御方法として、下記の2方式があることを学びました。
A) アナログ方式 - 階調に応じた電圧や電流値に変える
B) デジタル方式 - 高速な0/1信号波形の時間幅の割合を変える

今回のフルカラーLED表示にも使われている B)方式パルス幅変調(PWM)方式と呼び、マイコンやプログラムとの親和性が高いので、デジタル制御回路において多用されています。

 ところで、色の再現方法には、RGB色モデルの他にも、色味(色相H)・鮮やかさ(彩度S)・明るさ(明度V)を指定して表すHSV色モデルもあり、これらの3次元色空間モデルのいずれでも同一色を表現したり、相互に変換したりできます。

 最後に、“光の3原色”について、付け加えておきました。
3原色と言われると、物理学的に赤・緑・青が全ての色の元となる“純色”であって、黄や紫などは“混色”に過ぎないとの錯誤に陥りそうですが(8人中5人)、
実は、人間の視覚の都合による決め付けに過ぎません。


人間の網膜には、赤・緑・青の光(波長)に“良く”反応する3種の視細胞(赤錐体・緑錐体・青錐体)が高密度に分布しており、
この錐体の興奮度合い(電気信号)が視神経を通して脳の視覚野に伝わり、その組み合わせ次第を“勝手に”色として感じているのです。

テレビやカメラがRGB方式を採るのも、この視覚特性に由来しており、
人間が「実際の風景を忠実に再現した」と感じる4Kハイビジョン映像も、他の生物や宇宙人の目には、実物とは随分異なる映像色に映るかもしれません。

 また、赤と緑の間の単波長光が目に入っても、赤錐体緑錐体の両方が弱く反応して「黄色」と感じます。
つまり、人間は、黄色に感じる光が赤と緑の混合なのか、単色光(*7)なのかを区別できません


もっと言うと、0.01nm以下から100,000,000,000,000nm(百km)以上の波長まで連続的に存在する電磁波のうち、400~800nmの可視光というごく狭い帯域に人間の視覚が割り当てた“色”という概念は、まやかしに過ぎないのです(*8)。

 閑話休題し、2ヶ月目は、カラーセンサーを利用したトレーサー(追跡)ロボットを組み立てます。


*1 授業中、“耳年齢”アプリを使って、何kHzの音まで聞こえるか試してみましたが、悲しいかな、中年の先生には15kHz辺りが限界でした。10代の皆さんには18kHz以上まで聞こえるようですが、先生にとっては既に超音波の域です…。

*2 いや、実は同一部品でしょう。スピーカ(出力)とマイク(入力)は、モーターと発電機の関係に似て、原理的に同じ構造です。パソコンやオーディオ用のイヤホンも、マイク端子に挿して話しかけると、立派にマイクとして働きます。

*3 実物は、アンテナと手との間の静電容量の変化を、発振周波数(音の高さ)の変調に利用しています。

*4 やり尽くされて、他にできることが無い? 独創性が足りない証と考えるべし。

*5 LED発光および撮影自体はフルカラーRGB色モデルで処理していますが、サンプルプログラム ColorSensor1/3 や OneDotCamera[Average] 中では、一旦HSV色モデルに変換し、彩度(S)と明度(V)の情報を捨て、色相(H)のみを残して再生するため、視覚とは異なる色に写りますが、色味としては正しいと信じましょう。

*6 サンプルプログラム ColorLED2 で各色を100段階に調整できることからすれば、7ビット(128階調)209万色相当なのでしょうか。

*7 オレンジ1色のナトリウムランプ(単波長590nmの光)が照らすトンネル内の世界では、もはや「色」は存在しないのです…。

*8 この世の物質にも“色”という実体は無く、単に電磁波の波長ごとの反射率や吸収率の違いによる波長分布(スペクトル)の変化と、感覚器官による勝手な解釈があるに過ぎません。


2. 今月の課題

 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <スタートアップ/プライマリーコース>
  特にありません

 <ベーシックコース>
  ○ 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ
  ○ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  ○ 上記授業内容を分かるまで音読する
   (概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)

 <ミドルコース>
  ×(長尺につきスケッチ免除)
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <プロフェッサーコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
  ○ テルミンプログラム(USSTone2/3)を超音波センサーの特性に応じて調整し、
   自分好みの演奏しやすい楽器に仕立てる
  ◎ 色相環プログラム(ColorLED3)の改変例(配布)を試し、
   右アナログスティックの傾倒量に応じてLED発光に明暗が付くことを確認する
   (三平方の定理の数式利用を理解する)
  ○ テキストp.21チャレンジ課題のHSV→RGB色モデル変換式を考案する
   (角度0~360によって決まる色相のみをRGB値0~100の比に変換する)


3. 今後の授業スケジュール


[東福間]
   -  9:00~ 理科実験・中級
   - 10:30~ ロボ・ミドル
   - 13:30~ ロボ・ベーシック

 ・2/ 6 第1回
 ・2/20 第2回
 (2/20 福津地区 土曜日授業)
 (2/27 宗像地区 土曜日授業)

 ・3/ 5 第1回
 (3/ 5 玄海東小 土曜日授業)
 ・3/19 第2回

 ・4/ 2 第1回
 ・4/16 第2回

 ・5/ 7 第1回
 ・5/21 第2回


[東福間プロ]
   -  9:45~ ロボ・プロ1年目

 ・2/14 第1回
 ・2/28 第2回

 ・3/13 第1回
 ・3/27 第2回

 ・4/10 第1回
 ・4/24 第2回

 ・5/15 第1回
 ・5/29 第2回


[小倉北]
   - 10:00~ ロボ・ベーシック
   - 13:00~ ロボ・ミドル

        AM/PM
 ・2/ 7 第1回 和室/企画2
 ・2/21 第2回 和室/企画2
 (2/21 北九州マラソン)

 ・3/ 6 第1回 和室+企画2/企画2
 ・3/20 第2回 小セミ  /企画1

 ・4/ 3 第1回 小セミ/小セミ
 ・4/17 第2回 大セミ/和室

 ・5/ 8 第1回 小セミ/小セミ
 ・5/22 第2回 小セミ/小セミ


4. ひと言

 1/15放送のBS日テレ「ON&OFF」で高橋智隆先生が紹介されました。
年末のイノベーションフォーラム講演で一足先に知りましたが、
「図面を描かず」「たった独りで」「外見から作る」等、
ロボット開発の常識を覆す“変人ぶり”が魅力の方ですね。
当教室の監修ロボットも、こだわりをもって設計に頭を悩まされる
様子が映し出されていました。
 そうそう、「役に立つかどうか」の視点でロボット作りをしていない
とのご本人談に納得の製品が出るようです・・・その名は“ロボホン”。
2足歩行型電話? 電話型ロボット? 一般名称が何かも分からない、
新しい商品ジャンルを開拓すべく、講演でも本気でアピールされていました。
スマホが欲しい小6娘と、与えたくない親(私)との間で、
唯一交渉が成立しそうな一品ですが、まさか、20万円もしないですよね…。


東福間・小倉北教室 佐藤

2015年12月30日水曜日

12月授業内容

1.12月授業内容
2.今月の課題
3.1月授業スケジュール
4.2月~授業スケジュール(予告)
5.ひと言


1. 12月授業内容


1.1 <ベーシックコース『ロボフィッシュ』>


 魚型ロボットです。1日目で製作が完了するものの、うまく前進しません。
それはそうかもしれません、尾びれを左右に動かしているだけでは(*1)。

よくよく観察すると、尾びれを振る度に左右の両輪がちょっと前に回転しては後ろにも回転して
その場で体をくねくね方向転換する手助けをしているだけのようです。

 秘密は、ただの飾りに見えた胸びれにありました。
この胸びれをタイヤの前方に接触させると…、タイヤは前方向には軽く回転しますが、
逆方向には(胸びれのピニオンギヤとタイヤの横みぞが引っ掛かって)ロックが掛かり、
後退を阻止することができます。

ラチェット機構といい、自転車のペダルが前方向にはしっかり漕ぐことができるものの、
走行中に漕ぐのを止めたり、逆方向に空回りさせたり(*2)することができるのも、この機構のおかげです。

 これで体をくねらせる度に左右のタイヤが少しずつ交互に前進し、全体としてスイスイ泳ぐようになりました。
モーターを逆回転させたって、変わりません(*3)。
なお、モーターの回転を尾びれの往復運動に変えるクランク(*4)という仕組みも大事なポイントですよ。


 2日目最後のゲームは、えさ取り競争!
カラフルなモールを小魚の形に編み、散りばめます。
ロボフィッシュの口には磁石を貼り付け、うまくえさの方向に泳がせて「ぱくっ!」
規定時間内に多く食べたロボットの勝ち。


みんな、何度言っても、スタートラインは守らないわ、フライングはするわ、うまく動かず涙するわ、
景品の駄菓子を賭けて燃えに燃えます。


誰です? えさを手づかみして魚の口に運んだのは?


*1 水中の魚やイルカはそれで周りの水を後方へ押しやって泳げるのですが。

*2 このとき「チチチ…」と音がしますね。ラチェットの作動音です。

*3 側面のロッド3アナの回転方向は逆になりますが、尾びれを左右に振る動きは同じだからです。代わりに、胸びれをタイヤの後方に当てると、どうしたって後退するようになります。

*4 実際に使用している部品は『クランク』ではなく『ロッド3アナ』ですが、クランクと同じ作用を働かせています。


1.2 <ミドルコース『ロボザウルス』>


 恐竜型2足歩行ロボットです。最多の部品数と、最大級の大きさです。
モーター1つで、両脚はもちろん、両手も振り、首も上下させる他、
台車のタイヤの回転を利用してしっぽまで振る凝った造りで、巨体と相まって圧巻です。


 両手を振る運動は、カム機構(*5)で実現しています。
赤いベロを出し入れするのに連動して首を上下させたり、
しっぽを振ったりするのは、クランク機構によります。

肝心の2足歩行は、回転するクランク(*6)の端につないだ連接ロッド(7アナ)が
脚ロッドを押し引きする“てこクランク機構”という仕組みで、
両脚の前後および上下への運びを見事に実現しています。
てこクランク機構については、アドバンスコースで詳しく勉強します。


 安定して片足を浮かせられるのは、接地した方の片足と、台車の左右両輪とで、
3点支持”が確保されているためであることも学習しました。


 さて、2日目最後の競技は、相撲対決!
土俵に見立てた長机上で、相手を場外に落とすか、倒した方の勝ちです。
各者、ただでさえ高負荷の自重に、行く手を阻むは相手の巨体。
と思ったら、勝手に自己分解する環境に優しい“ボロ”ザウルスもいて、
拍子抜けする一幕もありました。


*5 回転体(Tジョイント)の外形に沿って他の部品(腕のTロッド)を押し動かす機械要素。

*6 実際に使用している部品は『クランク』ではなく『ロッド3アナ』ですが、クランクと同じ作用を働かせています。


1.3 <アドバンスコース『ロボドッグトレーナー』>


 現役生には卒業テーマとなりました、最終月の授業です。

 3日目は、主に音センサーの機能と特性、使い方を整理した後、
脚のリンク機構を観察しました。平行リンクにより、
足裏を(浮かせているときも)地面に対して常に平行に保つことができますが、
これだけでは、上下面を切り開いた段ボールがぺしゃんこに潰れてしまうように、
上体を支えることも、足を前後運動することもできません。


 平行リンク(平行四辺形)を周期的に変形させて足を運ばせているのが、
平行リンクを2点で繋ぎ留めたロッド15アナの役割です。複雑に見えるリンク機構も、
基本的な機能の組み合わせ(=設計者の意図)と考えると、分かり易くなります。

リンク機構の正確な動きは予測できるものではありません。専門家でない先生にも分かりません。
細かいところは試行錯誤で調整すればよいのです。

 4日目は、『ロボドッグトレーナー』についてまとめた後、
リンク機構を使った身近な製品として、折り畳み椅子を製作しました。

アドバンス修了生にとって、テキストの写真を見ながら組み立てるのは、造作もないことです。
そこで、テキストを閉じ、教室にあった実物を見ながら、自分の考えで製作してもらいました。
卒業テーマというわけです。

 いいところまでいきましたが、折り畳む時に、何かぐにゃぐにゃした感触です。
テキストの写真と見比べると、背もたれに相当するリンクが足りませんでした。
これを付け足すことで、しっかりした折り畳み椅子が完成しました。

 かように、一見簡素なものでも、創造するのは高度な営みであり、
この過程を経てこそ磨かれる力は大きくなるのだと思います。

 アドバンスコース修了おめでとうございます!


1.4 <ロボプロコース『リンクロボット(3)』>


 多脚リンクロボットの3ヶ月目、最終月です。
4月のオムニホイールロボットから続けている生徒には6月の授業の復習になりますが、
繰り返します。

 知的ロボットに必要な「感じて」「考えて」「動く」機能のうち、先月までは「考えて」「動く」だけでした。
いや、「考える」といっても、定めたプログラム通りに動くだけで、せいぜい次の動作に移行する秒数を計っているだけでした。

想像してみてください。いくら“脳ミソ”があっても、外界との接点が無ければ(目も耳も鼻も触覚さえも!)、意識は闇の中…。
息が詰まりそうですね。


 1日目では、「感じる」触覚を与えます。
丸い本体の前部(頭部?)に左右のタッチセンサーを取り付け、
そこから針金(触角?)を前方へ2本伸ばし、地面まで垂らします。
机上で前進中、針金の先が机の縁から垂れ下がるとタッチセンサーがOFFになって、
これを検出するプログラムでロボットを後ずさりさせたり、旋回させたり、自由に設計できます(*7)。
瞬く間に、崖から落ちないインテリロボの完成です。

これだけでも、ロボット掃除機を想わせる動きになります。どうです?
あのスゴイ家電の動作も、こんな感じで実現できてしまうのですよ!
自ら判断して動いてくれるので、生物のような賢さや可愛らしさが出てきます。

 このために、必要なプログラミング要素を学びました。
もし、○○だったら△△して、そうでなければ××する”ような判断と行動のルールを与えるもので、“if ○○ { △△ } else { ×× }”の形式で記述します。
条件分岐といって、プログラムには大切な要素です。
これがなければ、ゲームソフトも紙芝居がせいぜいです。

 最終日の2日目は、『天下一ロボット武道会』と銘打ち、
ラジコン操縦プログラムを転送したロボット同士で一騎打ちを繰り広げます。


 ゲーム性を高めるために、ハード的・ソフト的に改造を加えます。
感じるタッチセンサー2個をロボットの前後に付け直し、
打たれるとヒットポイント(HP)を失う“急所”に仕立てます。

相手の“急所”を突くための(ほこ)を装備します。

8×8ドットLEDマトリクスを装着し、ロボットのステータス(HP、スタミナ、無敵モード、勝敗宣言)を表示させます。

スピーカも繋ぎ、「敗北の悶絶」や「勝利の雄叫び」に備えます。


 各自で特性パラメータ(初期HP、スタミナ消費/回復速度)を割り振り、バトルフィールドに放って「勝負始め!」
前面の“急所”を盾(たて)で覆い隠すような不届き者には、
時折“神の手”が下りてロボットを持ち上げ、相手に背中の“急所”を差し向けます。


 苦労の割にはバトルゲームを楽しむ時間が少なく、消化不良な感が否めませんでしたが、
 ハード・ソフトを問わず、様々な面において思い通りに動かず、本番で苦汁を味わうのは、
巷の“ロボコン”でも同じです。いや、全くこの程度では済まされません。
純デジタルのゲーム世界と異なり、現実の闘いは泥臭い作業の積み重ねであることの片鱗も伺えたのではないでしょうか。


*7 もはや、タッチセンサーが従来のロボット教室でいう黒(押されてON)タイプか、グレー(押されてOFF)タイプかなど、プログラム次第でどうにでもなるので、どちらでも構わないのです。実際は、グレータイプのようです。


2. 今月の課題

 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <ベーシックコース>
  ○ 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ
  ○ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  ○ 上記授業内容を分かるまで音読する
   (概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)

 <ミドルコース>
  ×(難解につきスケッチ免除)
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <アドバンスコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <プロフェッサーコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
  ○ バトルゲームプログラム(RobotBattler)に目を通し(理解不要)、
    コメントを参考に数値や記号、音符を書き換えて変化を楽しむ


3. 1月授業スケジュール


[東福間]
 ・1/ 9 10:30~ ロボ・ミドル  第1回
 ・1/ 9 13:30~ ロボ・ベーシック第1回

 ・1/16  9:00~ 理科実験・中級 第1回
 (1/16 河東小 土曜日授業)

 ・1/30  9:00~ 理科実験・中級 第2回
 ・1/30 10:30~ ロボ・ミドル  第2回
 ・1/30 13:30~ ロボ・ベーシック第2回

 ・1/17  9:45~ ロボ・プロ   第1回
 ・1/31  9:45~ ロボ・プロ   第2回


[小倉北]
 ・ 1/10 10:00~ ベーシック第1回 4F和室
 ・ 1/10 13:00~ ミドル  第1回 4F和室

 ・ 1/24 10:00~ ベーシック第2回 4F工芸室
 ・ 1/24 13:00~ ミドル  第2回 4F工芸室


4. 2月~授業スケジュール(予告)


[東福間]
 下記を予定します。不都合な方はご相談下さい。

 ・2/ 6     理科・ロボ   第1回
 ・2/20     理科・ロボ   第2回
 (2/20 福津地区 土曜日授業)
 (2/27 宗像地区 土曜日授業)

 ・3/ 5     理科・ロボ   第1回
 (3/ 5 玄海東小 土曜日授業)
 ・3/19     理科・ロボ   第2回

 ・2/14  9:45~ ロボ・プロ   第1回
 ・2/28  9:45~ ロボ・プロ   第2回

 ・3/13  9:45~ ロボ・プロ   第1回
 ・3/27  9:45~ ロボ・プロ   第2回

 ・4/10  9:45~ ロボ・プロ   第1回
 ・4/24  9:45~ ロボ・プロ   第2回


[小倉北]
 ・ 2/ 7 10:00~ ベーシック第1回
 ・ 2/ 7 13:00~ ミドル  第1回

 ・ 2/21 10:00~ ベーシック第2回
 ・ 2/21 13:00~ ミドル  第2回
 (北九州マラソン開催日)

 ・ 3/ 6 10:00~ ベーシック第1回
 ・ 3/ 6 13:00~ ミドル  第1回

 ・ 3/20 10:00~ ベーシック第2回
 ・ 3/20 13:00~ ミドル  第2回

 ・ 4/ 3 10:00~ ベーシック第1回
 ・ 4/ 3 13:00~ ミドル  第1回

 ・ 4/17 10:00~ ベーシック第2回
 ・ 4/17 13:00~ ミドル  第2回


5. ひと言

 東福間でロボット・理科実験教室を開講して以来、生徒さんの明るい笑顔に支えられ、
今春にはロボ・プロコース開講と小倉北教室開設を果たすことができ、
年明けには総勢50名を超える方とお付き合いさせて頂けることになります。
 指導面でも抜かり無きよう、北九州高専時代から筋金入りのロボコニストで、
名工大生時代の2014年には大学ロボコン優勝・ABU国際大会準優勝を果たした
現九工大院生の久野顕司さんを始めとする優秀な学生にも応援してもらって、
より活気ある教室に成長して参ります。
 来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。良いお年をお迎え下さい。


東福間・小倉北教室 佐藤

2015年11月30日月曜日

11月授業内容

1. 11月授業内容
2. 今月の課題
3. 12月授業スケジュール
4. 1月~授業スケジュール(予告)
5. ひと言


1. <ベーシックコース『パカラー』>


 馬型ロボットです。
というより、首を長くしてキリンや、角を付けてトナカイになってましたね。
まあ、首なし“妖怪”よりはマシですが。


 横から見て、前脚と後ろ脚がハの字に開いたり閉じたりを繰り返します。
左右ではタイミングを反対(位相を180°ずらし)にしています。
一見簡素なリンク機構から、モーター1本で動物らしく4足歩行することに驚かされます。


 特に、前足(タイヤ)は、横から見て円形を描くように動くことで、
左右どちらか一方が接地し、他方は浮き上がることが可能になり、
真の歩行動作と推進力を生み出しています。

後ろ足(ホイール)は常時接地したまま前後運動(見せかけの歩行)をするので、
摩擦が邪魔にならないようゴムを外していますが、
前の1足と合わせた3点支持により本体を安定させる役割も担っています。


 あとは、首を飾り付けすぎたり、重たい電池ボックスを前方に片寄らせたりして
前のめりにならないよう、重心(重さの中心位置)に気を配ります。
もしくは、リヤカー(サンタのソリ?)を引くことでも安定しますよ。


 <ミドルコース『ロボワン』>


 忠犬ロボットと銘打っています。
今月はベーシックコース共に、4足歩行動物になりました。


 回転するロッド3アナ(クランク用)と連接用ロッドをペグ(回転軸)でつないだ
リンク機構(てこクランク機構)により、モーター1本で4足が位相をずらして
前後(実際は潰れた楕円形)運動をします。




また、このリンクの組み方次第で、ロッド末端部(足先に相当)に輪ゴム留めした
鉛筆の軌跡が細長い三日月楕円に変わることも実験しました。
機械工学的な理論としては難しいので、テキストでも解説はありませんが、
てこクランク機構というのは、組み方を少し変えるだけで軌跡が大きく変わるので、
いろいろ試して歩き方の変化を楽しんでみましょう(*1)。

 授業最後の競技は、犬相撲!
倒れるか、土俵(テーブル)から落ちると負けです。
短足のダックスフントに改造して重心を低くするのも理にかなっていますが、
大半の勝負が“押し出し”で決まったところを見ると、ロボットを重くしたり、
足裏にゴム部品を付けたりして摩擦力を稼いだ方が有利だったかもしれません。


*1 テキスト最後に掲載された高橋智隆先生のメッセージからも、試行錯誤してバランスを調整した形跡が見て取れますよ。


 <アドバンスコース『ロボドッグトレーナー』>


 現役生には最終テーマとなりました、1ヶ月目の授業です。
1日目は人型2足歩行ロボットの製作、2日目は犬型ロボットの製作、
および人型ロボットとの接続です。


 人型ロボット単体では、片足を浮かす度に大きく傾き、転倒して歩けませんが、
右手を犬型ロボットと繋ぐことで安定して歩くようになるものです。
犬を連れて散歩(トレーニング?)しているように見えるものの、
内実は、盲導犬が人をアシストしているかのようです。


 人型ロボットの重要テーマは、脚のリンク機構です。
今回は片脚ごとに平行リンクを2つ繋げ、足の裏を地面に対して常に平行に保ちます。
平行リンクについては、3日目に再度学習します。

 さて、人型を犬型で支えるにあたり、大事な工夫があります。
人型は、足を運ぶ度に胴体(腕を含む)が上下に揺れますが、
犬型(繋いだ人型の右手先を含む)は高さをあまり変えません。

生身の人と犬ならば、人が肘を屈曲させるか
ロープのたわみを利用して上下の揺れを吸収しつつ、
互いのスピードを見計らって調歩することもできますが、
今回はそれぞれ勝手に前進しようとする2体を横並びに揃え、
“絆”を見せかけねばなりません。

つまり、右の肩と手先の間で上下方向の伸縮は許すが、
前後方向のずれは最小限に拘束
したいわけです。

 この右腕にも平行リンクが使われています。
但し、可動方向を選ぶ機能が平行リンクの特質ではありません。
前後方向の拘束の仕掛けについては、ロボットを観察しましょう。
2ヶ月目に続けます。


 <ロボプロコース『リンクロボット(2)』>


 2ヶ月目にして、ようやく多脚リンクロボットの製作本番です。
1組2本だけでも、図面や説明文の読解(*2)、パーツの向きや重ねる順番の照合、
ネジやナット締め等、苦労した脚リンクを6組12本も組み合わせるのですから、
空間認知、合理的思考、工作的センス(力加減、器用さ)に始まる、あらゆる能力を総動員します。
やはり、アドバンスコースを上回る高度な作業です。


 大半の生徒が授業時間内には終わらず、家庭で進めて完成しても動かないか、
動きがギクシャクしたり、自己分解してしまったり…。組み立てミスも続出です。


 2日目に、マイコンボードや無線モジュールを搭載する作業時間も延長して使い、
完了した生徒が遅れた生徒を手伝う場面もあって、全員がゲームパッドコントローラで
ラジコン操縦するプログラムを試行するところまで到達できました。


 苦労の甲斐あって、その動きは有機的というか、節足動物的というか、
初めて目にする者をゾッとさせるものがあります。
非日常性を奏するには十分過ぎるインパクトです。

 左右の脚を2個のモーターで独立して可変速度(正逆を含む)で駆動できるため、
それぞれをベクトル(矢印)で表した作図により、
合成された進行速度回転中心(カーブの回転半径)が求まる考え方も学習しました。


 あとは、手動(ラジコン式)プログラムだろうが、自動(タイマー式)プログラムだろうが、自律(センサー式)プログラムだろうが、左右それぞれのモーターに、どんな順序・条件・計算式で、どれくらいの数値(電圧)を与えればよいかという問題に落とし込めます。

 最終月では、「感じて考える」自律型ロボットにバージョンアップしていきます。


*2 テキストの不備も手伝って…。申し訳ない限りです。


2. 今月の課題

次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <ベーシックコース>
  ○ 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ
  ○ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  ○ 上記授業内容を分かるまで音読する
   (概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)

 <ミドルコース>
  ◎ 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ(1日目)
  ○ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <アドバンスコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する

 <プロフェッサーコース>
  ◎ 上記授業内容を分かるまで音読する(該当するテキストページを見ながら)
  ◎ テキストp.12自動走行プログラム(LinkPattern)を参考に、
    テキストp.13の円・スラローム・うずまき走行にチャレンジし、
    サンプルプログラム(LinkPattern1/2/Challenge)の解答例を理解する


3. 12月授業スケジュール


[東福間]
 ・12/ 5 9:00~ 理科実験・中級 第1回
 ・12/ 5 10:30~ ロボ・ミドル  第1回
 ・12/ 5 13:30~ ロボ・ベーシック第1回
 ・12/ 5 15:30~ ロボ・アドバンス第1回

 ・12/19 9:00~ 理科実験・中級 第2回
 ・12/19 10:30~ ロボ・ミドル  第2回
 ・12/19 13:30~ ロボ・ベーシック第2回
 ・12/19 15:30~ ロボ・アドバンス第2回

 ・12/13 9:45~ ロボ・プロ   第1回(新下関教室 百合野先生)
 ・12/27 9:45~ ロボ・プロ   第2回


[小倉北]
 ・12/ 6 10:00~ ベーシック第1回 @和室
 ・12/ 6 13:00~ ミドル  第1回 @企画ルーム2

 ・12/20 10:00~ ベーシック第2回 @和室
 ・12/20 13:00~ ミドル  第2回 @企画ルーム2


4. 1月~授業スケジュール(予告)


[東福間]
 下記をご提案します。不都合な方は、お早目にお知らせ下さい。

 ・1/ 9 9:00~ 理科実験・中級 第1回
 ・1/ 9 10:30~ ロボ・ミドル  第1回
 ・1/ 9 13:30~ ロボ・ベーシック第1回
 ・1/ 9 15:30~ ロボ・アドバンス第1回

 (1/16 河東小 土曜日授業)

 ・1/23 9:00~ 理科実験・中級 第2回
 ・1/23 10:30~ ロボ・ミドル  第2回
 ・1/23 13:30~ ロボ・ベーシック第2回
 ・1/23 15:30~ ロボ・アドバンス第2回

 ・1/17 9:45~ ロボ・プロ   第1回
 ・1/31 9:45~ ロボ・プロ   第2回

 ・2/ 6     理科・ロボ   第1回
 ・2/20     理科・ロボ   第2回
 (2/20 福津地区 土曜日授業)
 (2/27 宗像地区 土曜日授業)

 ・2/14 9:45~ ロボ・プロ   第1回
 ・2/28 9:45~ ロボ・プロ   第2回

 ・3/13 9:45~ ロボ・プロ   第1回
 ・3/27 9:45~ ロボ・プロ   第2回


[小倉北]
 ・ 1/10 10:00~ ベーシック第2回 @和室
 ・ 1/10 13:00~ ミドル  第2回 @企画ルーム2

 ・ 1/24 10:00~ ベーシック第2回 @工芸室
 ・ 1/24 13:00~ ミドル  第2回 @茶室

 ・ 2/ 7 10:00~ ベーシック第2回 @和室
 ・ 2/ 7 13:00~ ミドル  第2回 @企画ルーム2

 ・ 2/21 10:00~ ベーシック第2回 @和室
 ・ 2/21 13:00~ ミドル  第2回 @企画ルーム2
 (北九州マラソン開催日)

 ・ 3/ 6 10:00~ ベーシック第1回 @和室
 ・ 3/ 6 13:00~ ミドル  第1回 @企画ルーム2

 ・ 3/20 10:00~ ベーシック第2回 @小セミナールーム
 ・ 3/20 13:00~ ミドル  第2回 @企画ルーム1


5. ひと言

早いもので、もう師走。紅白歌合戦とか、年越しそばとか、
ついこの前に話したばかりのような気がします…。歳ですね。
この時期を今か今かと楽しみにしている子供には持ち込まないよう接します。


東福間・小倉北教室 佐藤