2021年12月29日水曜日

2021年12月報

1.12月授業内容
2.12月の課題
3.11月の解答
4.今後の授業スケジュール
5.お知らせ
6.ご挨拶


1. 12月授業内容


1.0 <スタートアップ(全コース)>


 割愛します。


1.1 <プライマリーコース『アルペンくん』>


 割愛します。

1.2 <ベーシックコース『ロボモンキー』>


 手ながザルが綱(つな)を渡(わた)ります。

 重い本体をぶら下げたまま長い手を動かさなくてはならないので、モーターとギアには相応(そうおう)の負荷(ふか)が掛(か)かり、「ガリガリッ」と嫌(いや)な音を立てるだけで、なかなか進まない人もいました。

このガリガリ音は、ベベルギアの噛(か)み合わせが緩(ゆる)いために滑(すべ)っている音で、ギアの歯をどんどん削(けず)ってしまいます。
モーターに削れた黄色い粉(こな)が付いていたでしょう。

そうならないように、テキストp.6でワッシャーを3枚使うよう、青字の部品名・個数で書かれています。

写真だけを見てワッシャーを1枚しか入れないのは、何のために必要な部品かを考えていない(ワッシャーがぐらぐらでも気にしない)結果です。
組み付ける部品には意味がありますので、常に追求しましょう。

ワッシャーが足りないと、ベベルギアとピニオンギアうすの間に隙間(すきま)が空き、ベベルギアがしっかり固定されない状態にあります。

すると、モーターからの強い回転力を受けた時に、写真のオレンジ矢印で示す方向にベベルギアがずれ、モーター軸(じく)のピニオンギアと噛み合わなくなってしまいます。
この状態がまさにガリガリ音の発生源となるのです。

 さて、ギアがしっかり噛み合ったら、もう一つ大事な電池パワーさえ十分ならば、スイスイと綱渡りするモンキーが見られます。

この手の動きにも注目してください。
モーターによって回転しているのは、目玉の横のクランクまでですが、手の先は綱渡りするのに都合(つごう)よく、
右手で綱をたぐり寄(よ)せているときは、左手を浮(う)かせて後ろに運び、次には反対の手で同様に進むことを交互(こうご)に繰(く)り返しています。

このような動きを変換(へんかん)する仕組みを“リンク機構(きこう)”と呼び、もっと上級のコースで改(あらた)めて研究しますが、まずは「確かにそうなるよね」と思えるまで観察してみましょう。
そうすると、2日目で手の振(ふ)れ幅(はば)を大きくしてスピードアップした改造(p.18)も、感覚的に理解できるでしょう。

 なお、実際にスピードアップできるかどうかは、やはり電池パワーによります。
てこの原理により、「速く動かそうとするほど、力が弱くなる」宿命(しゅくめい)がありますので、力の弱いモーター(電池)から欲張(よくば)って速い動きを取り出そうとしても、逆に遅(おそ)くなるか止まってしまうことがありましたね。
(ガリガリ音で進まないのは、別の話ですよ)

ということは? 弱い電池でも動かす方法があるってこと?

まずは、2日目p.19~20の改造を「しない」ことですね。
ギアMをピニオンギアうすに替(か)えて、腕(うで)を動かすシャフト8ポチを速く回そうとしています。
さらに、p.18の改造とは逆に、手の振れ幅も小さくしてみましょう。

いつもはロボットを速くする改造に気を取られますが、遅くすることで得(え)られるメリットもあるのですよ。
ギアで減速(げんそく)するのでも、手足を短くするのでも、それを自分の手で実験して確かめてみてください。


1.3 <ミドルコース『チクタクロック』>


 振り子時計です。ロボットというより、からくり仕掛けを匂わせます。

皆さんの家には振り子時計があるでしょうか?
先生はオークションで手に入れました・・・昭和40年代のホンモノを。

 1日目は、時計の針をモーターで「ウィーン」と回しました。味気ないですね。
これに振り子を付け足して揺(ゆ)らしても、摩擦(まさつ)のせいで時間と共に減衰(げんすい)しますので、揺れ続けるには、振り子へのエネルギー供給が別途(べっと)必要です。

通常(?)は電磁石が使われます。だから、振り子時計の裏には、モーター用の電池と電磁石用の電池が2本入るようになっていることが多いですね。
時計の針と振り子は全く相関(そうかん)なく、独立して動いています・・・それは、ニセモノです!

 本来、振り子時計の振り子は飾りではなく、一定の周期で振れる性質(等時性=とうじせい)を利用した、時のリズムを正確に刻(きざ)むための肝要(かんよう)な仕掛けです。
電池やモーターが無い時代から動いていた時計、エネルギー源としてはゼンマイがよく使われていました。

 2日目は、時計の針を、巻き上げたおもり(位置エネルギー)で回しました。
ただし、それだけでは、時計の針が目まぐるしく回り、あっという間におもりが着地しておしまいです。
時のリズムに合わせて、与えたエネルギーを少しずつ使い、少しずつ針を進める仕掛け(脱進機=だっしんき)が必要です。

チクタクロックの脱進機は、実際の時計用とは少し違いますが、このシンプルな部品構成で脱進機の役割を立派(りっぱ)に果(は)たしています。
すでに脱進機を知っていた人も、この機構はなかなか思い付かなかったのではないでしょうか。

何しろ、おもり(タイヤL)が少しだけ下がる分の微弱(びじゃく)な位置エネルギーで、針の回転振り子の加勢(かせい)を滞(とどこお)りなく繰り返す、微妙(びみょう)なエネルギー収支(しゅうし)バランスが必要です(*1)。
テキストの設計はやはり絶妙(ぜつみょう)です。

 テキスト通りに組み上げると、随所(ずいしょ)からチクタク音が聞こえてきました。
そうです、いわゆるチクタク音の正体は脱進機だったのです。
初めて電池とモーターを使わないマシン、新鮮です。

 振り子の長さで音のリズム(時計の速さ)を変えることもできます。
振り子時計の基本原理が詰(つ)まっています。

このチクタク音を長く持続させるポイントは2つ。
・振り子を長く(重さは関係ない)
・おもりの位置エネルギーを高く(巻き付ける紐を長く)

このうち、振り子を長くすることで重くなると、どうしても摩擦や、振らせるのに必要な力(慣性モーメント)を増やし、脱進機によるエネルギー供給が足りず停止しがちです。
その場合は、おもりを重くするか、巻き付け半径を大きくする(*2)と有効です。

工夫すれば、160cmの紐で100秒以上のチクタク音を奏でることができます(*3)。
この音、レトロでいいですね。


*1 収支とは、出し入れのこと。おもりが出す位置エネルギーを脱進機に入れ、摩擦熱(音も含む)として消費していきますが、
このエネルギー(≒力)が必要以上に大きいと、振り子を無駄(むだ)に加勢してエネルギーを浪費(ろうひ)し、逆に小さいと、止まってしまいます。

*2 てこの原理により、おもりを重くするのと同様に回転力(トルク)が増しますが、その分速く垂れ下がります。

*3 2018年6月、*2とは逆に、巻き付け半径を小さくし(おもり降下速度を落とし)、弱くなったトルクでも動くよう脱進機のギアLをギアMに替えて(振り子の振れ幅を小さくして)、標準的な机上の高さにも拘(かかわ)らず100秒を超えたあっぱれな4年生もいました。


1.4 <アドバンスコース『アルクンダーZ①』>


 《下記を参照下さい》
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/robot/adv1-1712.pdf

1.5 <プロ1年目コース『リンクロボット③』>


 多脚リンクロボットの3ヶ月目、最終月です。

 知的ロボットに必要な「感じて」「考えて」「動く」機能のうち、先月までは「考えて」「動く」だけでした。
いや、「考える」といっても、定めたプログラム通りに動くだけで、せいぜい次の動作に移行する秒数を計っているだけでした。

想像してみてください。いくら“脳ミソ”があっても、外界との接点が無ければ(目も耳も鼻も触覚さえも!)、意識は闇の中…。息が詰まりそうですね。

 1日目では、「感じる」触覚を与えます。
円形ボード(頭部?)の左右にタッチセンサーを取り付け、そこから針金(触角?)を前方へ2本伸ばし、地面まで垂らします。
机上で前進中、針金の先が机の縁から垂れ下がるとタッチセンサーがOFFになって、これを検出するプログラムでロボットを後ずさりさせたり、旋回させたり、自由に設計できます。


瞬く間に、崖から落ちないインテリロボの完成です。

これだけでも、ロボット掃除機を想わせる動きになります。どうです?
あのスゴイ家電の動作も、こんな感じで実現できてしまうのですよ!
自ら判断して動いてくれるので、生物のような賢さや可愛らしさが出てきます。

 このために、必要なプログラミング要素を学びました。
もし、○○だったら△△して、そうでなければ××する”ような判断と行動のルールを与えるもので、“if ○○ { △△ } else { ×× }”の形式で記述します。

条件分岐といって、プログラムには大切な要素です。
これがなければ、ゲームソフトも紙芝居がせいぜいです。

 最終日の2日目は、『天下一ロボット武道会』と銘打ち、ラジコン操縦プログラムを転送したロボット同士で一騎打ちを繰り広げます。

ゲーム性を高めるために、ハード的・ソフト的に改造を加えます。
感じるタッチセンサー2個をロボットの前後に付け直し、打たれるとヒットポイント(HP)を失う“急所”に仕立てます。

相手の“急所”を突くための(ほこ)を装備します。

8×8ドットLEDマトリクスを装着し、ロボットのステータス(HP、スタミナ、無敵モード、勝敗宣言)を表示させます。

スピーカも繋ぎ、「敗北の悶絶」や「勝利の雄叫び」に備えます。

 各自で特性パラメータ(初期HP、スタミナ消費/回復速度)を割り振り、バトルフィールドに放って「勝負始め!」
一見単純そうで、パラメータ振りや、攻め・守り・スタミナ回復のための時間/HP消費などの戦略要素が効いてか、これがなかなか面白い!
ゲーム内の戦闘ロボットを現実界に持ち出した感、いや、リアリティはそれ以上(当たり前)です。

この3ヶ月間、多大な時間を費やして組み上げては分解調整を繰り返した末、苦労してスムーズな動きを獲得したロボットは、最後の戦闘を楽しませてくれる堅牢性を見せました。

 ハード・ソフトを問わず、様々な面において思い通りに動かず、苦汁を味わうのは、巷の“ロボコン”でも同じです。
いや、全くこの程度では済まされません。
純デジタルのゲーム世界と異なり、現実の闘いは泥臭い作業の積み重ねであることの片鱗も伺えたのではないでしょうか。


1.6 <プロ2年目コース『センサーロボット③』>


 ついに、高精度な変位(位置)検知の雄である“エンコーダー”の出番です。

エンコーダーは、車のスピードメーターやプリンター、お掃除ロボットなど、位置や速度を正確に検出したり、フィードバック制御したりする、あらゆる電子制御機器で使われています。

これまでプログラム制御してきたロボットは、タイヤの回転数を“回す時間”で推し量ってきました。
実際のモーターがどれだけのトルクを発揮するか、回転軸の摩擦力がどれだけかも知れず、これでは「時間内でやれるだけやっておくよ」と言うようなもので、精度(必要な移動量)に対して無責任です。
こんなものは、おもちゃか、ラジコンにしか使えません。

 エンコーダーの原理は、可動部に取り付けた光センサーと、シマシマ模様の反射板(フォトリフレクタ)とが、その相対位置を変えること(移動や回転)によって発生させる、0と1の2値からなるパルス信号を読み取ることです。

移動が一方向ならこれで十分ですが(*1)、正逆を気にする場合は、もう一工夫必要です。
やり方は一つではありません。いろんな解決策がありますが、原理を例えるなら、
ばかばかばか…」と「かばかばかば…」を途中から聞いても区別がつきませんが(*2)、
くるまくるま…」と「まるくまるく…」なら、どこの2文字でも違いが分かりますね。

要は、状態を「3値以上」で表現できれば良いわけです。
2値のパルス信号が好きなデジタル回路なら、2系統を組み合わせて実質的に4値(*3)とすれば良く、それが今回のエンコーダーです(第5回p.15)。

 そんなエンコーダーを左右両輪にそれぞれ使った移動ロボットで、任意の4角形や3角形の軌跡を、これまでのロボットでやったよりもずっと正確に描くことができました(*4)。

前進(両輪)や旋回(片輪)は、エンコーダーからのパルス信号を処理してモーター速度を一定に保ってくれるライブラリのお陰で、これまで回転量(時間)の制御に用いてきた delay() をまた使うことができ、分かり易くなっています(*5*6)。

 でも、次回エンコーダーを用いる時は、実践的にパルス信号を処理して回転数制御したいものですね。
最後に、エンコーダーの赤外線センサー1個だけを地面に向けて実現したライントレーサーも、アドバンスコースやプロ1年目のものと原理的に何ら変わりませんしね。


*1 もしくは前進と後退を区別しないスピードメーターなど。

*2 もしくは「俺が途中から逆向きに読んだのが分かるかい?」と意地悪を言われても。

*3 2+2ではありません。組み合わせの問題なので、2×2です。

*4 辺での直進距離と、頂点での回転角度の両方を制御できました。

*5 算数ができればの話で…「曲率半径60mmの円周上を中心角300°分旋回するには、毎分30回転する直径48mmのタイヤを何秒間回せばよいか?」など。算数も役に立つんだね!

*6 一部の生徒には不満だったようで、「本来、エンコーダーからのパルス数を直接読み取って移動量を制御すれば良いものを、相変わらず時間制御とは…」 分かります。


2. 12月の課題


 <スタートアップ(全コース)>
  特にありません

 <プライマリーコース>
  - オリジナル図形プリント
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotP2112-Q.pdf

 <ベーシックコース>
  - 上記授業内容を精読する(概ね3年生以上/低学年は補助の下で)
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotB2112-Q.pdf

 <ミドルコース>
  - 上記授業内容を精読する
  - オリジナル課題プリント(3面図+設問)
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotM2112-Q.pdf

 <アドバンスコース>
  - 上記授業内容を精読する
  - オリジナル課題プリント(見取図+設問)
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotA2112-Q.pdf (来月まで分)

 <プロ1年目コース>
  - 上記授業内容を精読する(該当テキストページを見ながら)
  - 2020年12月アドバンスコース『モゾット①』で紹介した動画(YouTube)を視聴する
   http://higashi-fukuma-robot.blogspot.com/2020/12/

 <プロ2年目コース>
  - 上記授業内容を精読する(該当テキストページを見ながら)


3. 11月の解答


 <プライマリーコース>
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotP2111-A.pdf
 <ベーシックコース>
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotB2111-A.pdf
 <ミドルコース>
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotM2111-A.pdf
 <アドバンスコース>
  http://robocobo.sakura.ne.jp/blog/HW/RobotA2110-A.pdf


4. 今後の授業スケジュール


◆1月は一週ずつ遅れます。
◆中間1/29は『中間市生涯学習センター』で開催します。

――――――――――【佐藤教室長】――――――――――

[東福間]第1・3土原則<学習ルームでこぼこ>
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドバンス

 ⇒ 1/8, 22,  2/5, 19,  3/5, 19


[中間]第2・4土原則<なかまハーモニーホール>
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドバンス/ロボプロ

 ⇒1/15 第1回 なかまハーモニーホール3F会議室2
  1/29※第2回 中間市生涯学習センター2F第4研修室
  2/12, 26,  3/12, 26

 ※1/29はハーモニーホール利用不可の為、代替施設で開催します。


[小倉北]第1・3日原則<ムーブ>
   - 10:30~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル/ロボプロ
   - 15:00~ アドバンス

 ⇒1/ 9 第1回 5F小セミ
  1/23 第2回 5F小セミ
  2/6, 20,  3/6, 20


――――――――――【中野教室長】――――――――――

[八幡東]第1・3土原則<レインボープラザ4F>
   - 13:30~ ベーシック/プライマリ
   - 15:30~ ミドル
   - 17:30~ アドバンス

 ⇒ 1/8, 22,  2/5, 19,  3/5, 19


[小倉南]第2・4日原則<総合農事センター2F>
   - 10:30~ ベーシック/プライマリ
   - 13:00~ ミドル
   - 15:00~ アドバンス

 ⇒ 1/16, 30,  2/13, 27,  3/13, 27


5. お知らせ

1) タブレット画面保護フィルム支給

 この度、来年1月ミドル・アドバンスコース在籍の方へ、プログラミング・タブレット用の画面保護フィルムが支給されることになりました。

 1月授業日に配布いたします。

 なお、タブレットには数種類あり、お使いのタブレットにピッタリサイズかどうかの情報は現時点でありませんが、お知りおき下さい。


2) 11月課題 高得点者  []内は教室と学年

 ◆プライマリ【10名平均 図形3.9】
   5点…藤原[八幡東1], 山根[八幡東 年長], 吉永[小倉南1]

 ◆ベーシック【18名平均 図面3.1+設問1.6=4.8】
  10点…なし
   9点…古場[小倉南2]
   8点…渡辺[小倉南4]
   7点…仲井[中間4], 柴田[小倉北4]

 ◆ミドル【20名平均 図面3.0+設問2.5=5.5】
  10点…なし
   9点…千葉[中間6], 藤津[中間5]
   8点…山口[東福間5], 柴田[小倉北4]
   7点…なし

 ◆アドバンス【4名平均 図面8.3+設問5.3=13.5】
  16点…重藤[八幡東10]
  14点…中村(健)[小倉北7], 中村(晟)[小倉北6]


6. ご挨拶


 《配信メールでご覧下さい》


東福間・中間・小倉北教室 佐藤 / 八幡東・小倉南教室 中野