2.今月の課題
3.1月授業スケジュール
4.2月~授業スケジュール(予告)
5.ひと言
1. 12月授業内容
1.1 <ベーシックコース『ロボフィッシュ』>
魚型ロボットです。1日目で製作が完了するものの、うまく前進しません。
それはそうかもしれません、尾びれを左右に動かしているだけでは(*1)。
よくよく観察すると、尾びれを振る度に左右の両輪がちょっと前に回転しては後ろにも回転して、
その場で体をくねくね方向転換する手助けをしているだけのようです。
秘密は、ただの飾りに見えた胸びれにありました。
この胸びれをタイヤの前方に接触させると…、タイヤは前方向には軽く回転しますが、
逆方向には(胸びれのピニオンギヤとタイヤの横みぞが引っ掛かって)ロックが掛かり、
後退を阻止することができます。
ラチェット機構といい、自転車のペダルが前方向にはしっかり漕ぐことができるものの、
走行中に漕ぐのを止めたり、逆方向に空回りさせたり(*2)することができるのも、この機構のおかげです。
これで体をくねらせる度に左右のタイヤが少しずつ交互に前進し、全体としてスイスイ泳ぐようになりました。
モーターを逆回転させたって、変わりません(*3)。
なお、モーターの回転を尾びれの往復運動に変えるクランク(*4)という仕組みも大事なポイントですよ。
2日目最後のゲームは、えさ取り競争!
カラフルなモールを小魚の形に編み、散りばめます。
ロボフィッシュの口には磁石を貼り付け、うまくえさの方向に泳がせて「ぱくっ!」
規定時間内に多く食べたロボットの勝ち。
みんな、何度言っても、スタートラインは守らないわ、フライングはするわ、うまく動かず涙するわ、
景品の駄菓子を賭けて燃えに燃えます。
誰です? えさを手づかみして魚の口に運んだのは?
*1 水中の魚やイルカはそれで周りの水を後方へ押しやって泳げるのですが。
*2 このとき「チチチ…」と音がしますね。ラチェットの作動音です。
*3 側面のロッド3アナの回転方向は逆になりますが、尾びれを左右に振る動きは同じだからです。代わりに、胸びれをタイヤの後方に当てると、どうしたって後退するようになります。
*4 実際に使用している部品は『クランク』ではなく『ロッド3アナ』ですが、クランクと同じ作用を働かせています。
1.2 <ミドルコース『ロボザウルス』>
恐竜型2足歩行ロボットです。最多の部品数と、最大級の大きさです。
モーター1つで、両脚はもちろん、両手も振り、首も上下させる他、
台車のタイヤの回転を利用してしっぽまで振る凝った造りで、巨体と相まって圧巻です。
両手を振る運動は、カム機構(*5)で実現しています。
赤いベロを出し入れするのに連動して首を上下させたり、
しっぽを振ったりするのは、クランク機構によります。
肝心の2足歩行は、回転するクランク(*6)の端につないだ連接ロッド(7アナ)が
脚ロッドを押し引きする“てこクランク機構”という仕組みで、
両脚の前後および上下への運びを見事に実現しています。
てこクランク機構については、アドバンスコースで詳しく勉強します。
安定して片足を浮かせられるのは、接地した方の片足と、台車の左右両輪とで、
“3点支持”が確保されているためであることも学習しました。
さて、2日目最後の競技は、相撲対決!
土俵に見立てた長机上で、相手を場外に落とすか、倒した方の勝ちです。
各者、ただでさえ高負荷の自重に、行く手を阻むは相手の巨体。
と思ったら、勝手に自己分解する環境に優しい“ボロ”ザウルスもいて、
拍子抜けする一幕もありました。
*5 回転体(Tジョイント)の外形に沿って他の部品(腕のTロッド)を押し動かす機械要素。
*6 実際に使用している部品は『クランク』ではなく『ロッド3アナ』ですが、クランクと同じ作用を働かせています。
1.3 <アドバンスコース『ロボドッグトレーナー』>
現役生には卒業テーマとなりました、最終月の授業です。
3日目は、主に音センサーの機能と特性、使い方を整理した後、
脚のリンク機構を観察しました。平行リンクにより、
足裏を(浮かせているときも)地面に対して常に平行に保つことができますが、
これだけでは、上下面を切り開いた段ボールがぺしゃんこに潰れてしまうように、
上体を支えることも、足を前後運動することもできません。
平行リンク(平行四辺形)を周期的に変形させて足を運ばせているのが、
平行リンクを2点で繋ぎ留めたロッド15アナの役割です。複雑に見えるリンク機構も、
基本的な機能の組み合わせ(=設計者の意図)と考えると、分かり易くなります。
リンク機構の正確な動きは予測できるものではありません。専門家でない先生にも分かりません。
細かいところは試行錯誤で調整すればよいのです。
4日目は、『ロボドッグトレーナー』についてまとめた後、
リンク機構を使った身近な製品として、折り畳み椅子を製作しました。
アドバンス修了生にとって、テキストの写真を見ながら組み立てるのは、造作もないことです。
そこで、テキストを閉じ、教室にあった実物を見ながら、自分の考えで製作してもらいました。
卒業テーマというわけです。
いいところまでいきましたが、折り畳む時に、何かぐにゃぐにゃした感触です。
テキストの写真と見比べると、背もたれに相当するリンクが足りませんでした。
これを付け足すことで、しっかりした折り畳み椅子が完成しました。
かように、一見簡素なものでも、創造するのは高度な営みであり、
この過程を経てこそ磨かれる力は大きくなるのだと思います。
アドバンスコース修了おめでとうございます!
1.4 <ロボプロコース『リンクロボット(3)』>
多脚リンクロボットの3ヶ月目、最終月です。
4月のオムニホイールロボットから続けている生徒には6月の授業の復習になりますが、
繰り返します。
知的ロボットに必要な「感じて」「考えて」「動く」機能のうち、先月までは「考えて」「動く」だけでした。
いや、「考える」といっても、定めたプログラム通りに動くだけで、せいぜい次の動作に移行する秒数を計っているだけでした。
想像してみてください。いくら“脳ミソ”があっても、外界との接点が無ければ(目も耳も鼻も触覚さえも!)、意識は闇の中…。
息が詰まりそうですね。
1日目では、「感じる」触覚を与えます。
丸い本体の前部(頭部?)に左右のタッチセンサーを取り付け、
そこから針金(触角?)を前方へ2本伸ばし、地面まで垂らします。
机上で前進中、針金の先が机の縁から垂れ下がるとタッチセンサーがOFFになって、
これを検出するプログラムでロボットを後ずさりさせたり、旋回させたり、自由に設計できます(*7)。
瞬く間に、崖から落ちないインテリロボの完成です。
これだけでも、ロボット掃除機を想わせる動きになります。どうです?
あのスゴイ家電の動作も、こんな感じで実現できてしまうのですよ!
自ら判断して動いてくれるので、生物のような賢さや可愛らしさが出てきます。
このために、必要なプログラミング要素を学びました。
“もし、○○だったら△△して、そうでなければ××する”ような判断と行動のルールを与えるもので、“if ○○ { △△ } else { ×× }”の形式で記述します。
条件分岐といって、プログラムには大切な要素です。
これがなければ、ゲームソフトも紙芝居がせいぜいです。
最終日の2日目は、『天下一ロボット武道会』と銘打ち、
ラジコン操縦プログラムを転送したロボット同士で一騎打ちを繰り広げます。
ゲーム性を高めるために、ハード的・ソフト的に改造を加えます。
「感じる」タッチセンサー2個をロボットの前後に付け直し、
打たれるとヒットポイント(HP)を失う“急所”に仕立てます。
相手の“急所”を突くための矛(ほこ)を装備します。
8×8ドットLEDマトリクスを装着し、ロボットのステータス(HP、スタミナ、無敵モード、勝敗宣言)を表示させます。
スピーカも繋ぎ、「敗北の悶絶」や「勝利の雄叫び」に備えます。
各自で特性パラメータ(初期HP、スタミナ消費/回復速度)を割り振り、バトルフィールドに放って「勝負始め!」
前面の“急所”を盾(たて)で覆い隠すような不届き者には、
時折“神の手”が下りてロボットを持ち上げ、相手に背中の“急所”を差し向けます。
苦労の割にはバトルゲームを楽しむ時間が少なく、消化不良な感が否めませんでしたが、
ハード・ソフトを問わず、様々な面において思い通りに動かず、本番で苦汁を味わうのは、
巷の“ロボコン”でも同じです。いや、全くこの程度では済まされません。
純デジタルのゲーム世界と異なり、現実の闘いは泥臭い作業の積み重ねであることの片鱗も伺えたのではないでしょうか。
*7 もはや、タッチセンサーが従来のロボット教室でいう黒(押されてON)タイプか、グレー(押されてOFF)タイプかなど、プログラム次第でどうにでもなるので、どちらでも構わないのです。実際は、グレータイプのようです。
2. 今月の課題
次回授業日までに完了してください。◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。
<ベーシックコース>
○ 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ
○ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
(難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
○ 上記授業内容を分かるまで音読する
(概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)
<ミドルコース>
×(難解につきスケッチ免除)
◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
<アドバンスコース>
◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
<プロフェッサーコース>
◎ 上記授業内容を分かるまで音読する
○ バトルゲームプログラム(RobotBattler)に目を通し(理解不要)、
コメントを参考に数値や記号、音符を書き換えて変化を楽しむ
3. 1月授業スケジュール
[東福間]
・1/ 9 10:30~ ロボ・ミドル 第1回
・1/ 9 13:30~ ロボ・ベーシック第1回
・1/16 9:00~ 理科実験・中級 第1回
(1/16 河東小 土曜日授業)
・1/30 9:00~ 理科実験・中級 第2回
・1/30 10:30~ ロボ・ミドル 第2回
・1/30 13:30~ ロボ・ベーシック第2回
・1/17 9:45~ ロボ・プロ 第1回
・1/31 9:45~ ロボ・プロ 第2回
[小倉北]
・ 1/10 10:00~ ベーシック第1回 4F和室
・ 1/10 13:00~ ミドル 第1回 4F和室
・ 1/24 10:00~ ベーシック第2回 4F工芸室
・ 1/24 13:00~ ミドル 第2回 4F工芸室
4. 2月~授業スケジュール(予告)
[東福間]
下記を予定します。不都合な方はご相談下さい。
・2/ 6 理科・ロボ 第1回
・2/20 理科・ロボ 第2回
(2/20 福津地区 土曜日授業)
(2/27 宗像地区 土曜日授業)
・3/ 5 理科・ロボ 第1回
(3/ 5 玄海東小 土曜日授業)
・3/19 理科・ロボ 第2回
・2/14 9:45~ ロボ・プロ 第1回
・2/28 9:45~ ロボ・プロ 第2回
・3/13 9:45~ ロボ・プロ 第1回
・3/27 9:45~ ロボ・プロ 第2回
・4/10 9:45~ ロボ・プロ 第1回
・4/24 9:45~ ロボ・プロ 第2回
[小倉北]
・ 2/ 7 10:00~ ベーシック第1回
・ 2/ 7 13:00~ ミドル 第1回
・ 2/21 10:00~ ベーシック第2回
・ 2/21 13:00~ ミドル 第2回
(北九州マラソン開催日)
・ 3/ 6 10:00~ ベーシック第1回
・ 3/ 6 13:00~ ミドル 第1回
・ 3/20 10:00~ ベーシック第2回
・ 3/20 13:00~ ミドル 第2回
・ 4/ 3 10:00~ ベーシック第1回
・ 4/ 3 13:00~ ミドル 第1回
・ 4/17 10:00~ ベーシック第2回
・ 4/17 13:00~ ミドル 第2回
5. ひと言
東福間でロボット・理科実験教室を開講して以来、生徒さんの明るい笑顔に支えられ、今春にはロボ・プロコース開講と小倉北教室開設を果たすことができ、
年明けには総勢50名を超える方とお付き合いさせて頂けることになります。
指導面でも抜かり無きよう、北九州高専時代から筋金入りのロボコニストで、
名工大生時代の2014年には大学ロボコン優勝・ABU国際大会準優勝を果たした
現九工大院生の久野顕司さんを始めとする優秀な学生にも応援してもらって、
より活気ある教室に成長して参ります。
来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。良いお年をお迎え下さい。
東福間・小倉北教室 佐藤