2015年6月30日火曜日

6月授業内容

1. 6月授業内容
2. 今月の課題
3. [東福間]7月授業スケジュール
4. [小倉北]7月授業スケジュール
5. 8月授業スケジュール(予告)
6. ひと言


1. 6月授業内容

<ベーシックコース『手ながモンキー』>

(初月スタートアップ講座の内容は割愛します)

 タイトル通り、手ながザルが綱を渡ります。
重い本体を吊り下げたまま長い手を動かさなくてはならないので、モーターとギアには相応の負荷(ふか)が掛かり、「ガリガリッ」と嫌な音を立てるだけで、なかなか進まない人もいました。

このガリガリ音は、ベベルギアの噛み合わせが緩いために滑っている音で、ギアの歯をどんどん削ってしまいます。モーターに削れた黄色い粉が付いていたでしょう。

反省してください。そうならないように(ピニオンギアとベベルギアを密着させるように)、テキストp.6でワッシャーを3枚使うように指示しており、先生も「青字の部品名・個数によく注意しないと失敗するよ」と警告しましたが、半数の人が写真だけを見てワッシャーを1枚しか入れなかった結果です。

何のために必要な部品かを考えていない(ワッシャーがぐらぐらでも気にしない)結果でもあります。
組み付けるすべての部品に(装飾も含めて)意味がありますので、常に追求しましょう。
そうでないと、オリジナルロボットを作れるようになりませんし、上級コースにも進めませんよ。

 さて、ギアがしっかり噛み合ったら、もう一つ大事な電池パワーさえ十分ならば、スイスイと綱渡りするモンキーが見られます。
特に、電池を6本も入れると、止めるのが大変なくらい速かったですね。

 この手の動きにも注目してください。
モーターによって回転しているのは、目玉の横のクランクまでですが、手の先は綱渡りするのに都合よく、右手で綱をたぐり寄せているときは、左手を浮かせて後ろに運び、次には反対の手で同様に進むことを交互に繰り返しています。

このような動きを変換する仕組みを“リンク機構”と呼び、上級コースで改めて研究しますが、先ずは「確かにそうなるよね」と思えるまで観察してみましょう。そうすると、2日目で手の振れ幅を大きくしてスピードアップした改造(p.19)も、感覚的に理解できるでしょう。

 なお、実際にスピードアップできるかどうかは、やはり電池パワーによります。
力学的に、「速く動かそうとするほど、力が弱くなる」宿命(てこの原理)がありますので、力の弱いモーター(電池)から欲張って速い動きを取り出そうとしても、逆に遅くなるか止まってしまうことがありましたね。
(ガリガリ音で進まないのは、別の話ですよ)

ということは? 弱い電池でも動かす方法があるってこと?
だから先生は、簡単には電池を貸さないのですよ。
弱い電池しか準備してこなかった失敗を嘆くばかりの君が、
このまとめを毎回しっかり読み、自在に改造できるようになる日を心待ちにしています。


<ミドルコース『チクタクロック』>

 振り子時計です。ロボットというより、からくり仕掛けを匂わせます。
皆さんの家には振り子時計があるでしょうか?
先生はオークションで手に入れました・・・昭和40年代のホンモノを。

 1日目は、時計の針をモーターで「ウィーン」と回しました。味気ないですね。
これに振り子を付け足して揺らしても、摩擦のせいで時間と共に減衰しますので、揺れ続けるには、振り子へのエネルギー供給が別途必要です。

通常(?)は電磁石が使われます。だから、振り子時計の裏には、モーター用の電池と電磁石用の電池が2本入るようになっていることが多いですね。
時計の針と振り子は全く相関なく、独立して動いています・・・それは、ニセモノです!

 本来、振り子時計の振り子は飾りではなく、一定の周期で振れる性質(等時性)を利用した、時のリズムを正確に刻むための肝要な仕掛けです。
電池やモーターが無い時代から動いていた時計、エネルギー源としてはゼンマイがよく使われていました。

 2日目は、時計の針を、巻き上げた重り(位置エネルギー)で回しました。
ただし、それだけでは、時計の針が目まぐるしく回り、あっという間に重りが着地しておしまいです。
時のリズムに合わせて、与えたエネルギーを少しずつ使い、少しずつ針を進める仕掛け(脱進機)が必要です。

去年の同クラスでは、脱進機の実現方法が載ったテキストページを配らず、2日目までの宿題にしてみましたが、インターネット検索などで仕組みは理解しても、独自に組み上げるのは難しかったようです。
何しろ、重り(タイヤL)が下がる微弱な位置エネルギーで、針の回転と振り子の加勢を滞りなく繰り返す、微妙なエネルギー収支バランスが必要です。テキストの設計はやはり絶妙です。

 テキスト通りに組み上げると、随所からチクタク音が聞こえてきました。
そうです、いわゆるチクタク音の正体は脱進機だったのです。
初めて電池とモーターを使わないロボット、新鮮です。

 振り子の長さで音のリズム(時計の速さ)を変えることもできます。
振り子時計の基本原理が詰まっています。

このチクタク音を長く持続させるポイントは2つ。
・振り子を長く(重さは関係ない)
・重りの位置エネルギーを高く(巻き付ける紐を長く)

このうち、振り子を長くすることで重くなると、どうしても摩擦や、
振らせるのに必要な力(慣性モーメント)を増やし、脱進機によるエネルギー供給が足りず停止しがちです。
その場合は、重りを重くするか、巻き付け半径を大きくする(*1)と有効です。
工夫すれば、60秒以上のチクタク音を奏でることができます。この音、レトロでいいですね。

*1 てこの原理により、重りを重くするのと同様に回転力が増しますが、その分速く垂れ下がります。


<アドバンスコース『教室ロボコン ~Robo Fight~』> 

 2ヶ月目の授業です。
8月のテクニカルコンテスト全国大会と競技ルールは異なるものの、そのような対戦を意識させる内容ですから、テキスト上に特段の技術的示唆はありませんが、自分たちでルールをアレンジし、
対戦してみては改造にフィードバックする楽しさを味わいました。

 対戦ルールは、
・操縦方法として手動型・自律型の別を問わない
(全員が手動操縦を選びましたが、自律型を交ぜるとより面白かったでしょう)
・左右の駆動輪とも場外に出るか、机上から落下すると負け
・5秒以上停止(通電不良・転覆・ギア外れ等)すると負け
に決まりました。

 その中で、無敗の強さを見せたロボットがありました。
強さのポイントは、
・重いこと(摩擦力・慣性力)
・片側2輪串刺しのダブルタイヤ!(摩擦力)
・重量物(電池・モーター)を駆動輪上に配したミッドシップレイアウトにより、
 タイヤの摩擦力と旋回性を向上
・頑丈な前面シールド(本体保護)

これにより、小型の対戦相手をブルドーザーのように押しのけていました。
軽くてちょろちょろと速いロボットは、逃げ回って相手が自滅するのを待つしか手立てがありませんでした。

 他に、ロボット前面にスロープ(シャベル)を付けて、相手を乗り上げさせてグリップを失わせる戦略も見られましたが、残念ながら活躍のシーンはなかったようです。

 かように、対戦が絡むと闘志が湧き上がるのが人間です。
それが分かったところで、四の五の言わず、テクニカルコンテスト用のライントレーサに挑戦してみなさい。
1回しかないチャンス、控えめな君も「もっと改良しておきたかった…」と後悔しかねないほど、楽しいものですよ!


<ロボプロコース『オムニホイールロボット(3)』>  

 オムニホイールロボットの3ヶ月目、最終月です。
 知的ロボットに必要な「感じて」「考えて」「動く」機能のうち、先月までは「考えて」「動く」だけでした。
いや、「考える」といっても、定めたプログラム通りに動くだけで、せいぜい次の動作に移行する秒数を計っているだけでした。

想像してみてください。いくら“脳ミソ”があっても、外界との接点が無ければ(目も耳も鼻も触覚さえも!)、意識は闇の中…。息が詰まりそうですね。

 1日目では、「感じる」触覚を与えます。
丸い本体の前部(頭部?)に左右のタッチセンサーを取り付け、そこから針金(触角?)を2本伸ばします。まるでテントウムシですね。
針金に何かが触れると、タッチセンサーがONになって…、どうなる?
それはプログラム次第ですね。ここが本コースの面白いところです。

左の触角に触れるとちょっと後ずさり、右の触角に触れると旋回するなど、自由に設計できます。
これだけでも、ロボット掃除機を想わせる動きになります。どうです?
あのスゴイ家電の動作も、こんな感じで実現できてしまうのですよ!
自ら判断して動いてくれるので、生物のような賢さや可愛らしさが出てきます。

 このために、新しいプログラミング要素を学びました。
“もし、○○だったら△△して、そうでなければ××する”ような判断と行動のルールを与えるもので、“if ○○ { △△ } else { ×× }”の形式で記述します。
条件分岐といって、プログラムには大切な要素です。
これがなければ、ゲームソフトも紙芝居がせいぜいです。

 最終日の2日目は、ラジコン操縦プログラムを転送して、「考える」賢さをコントローラ操縦者に委ね、スラローム走行や玉ころがし、しまいにサッカー対戦など、教室ロボカップを開催して走らせ回りました。

この過程で、プログラムの条件分岐を使用して、高速走行モードに入るボタンが決められていることを知り、さらに禁断の“スピードリミッタ解除”にまで及びましたが、机上では速すぎて落下の恐怖が付きまといましたね。

 以上、3ヶ月にわたり、オムニホイールの走行原理やプログラミングの基礎を学びました。
特に、同じボタンやタッチセンサーでも、押されてどう反応するかはプログラム次第であるという点が、これまでのロボットパーツにはない新鮮な体験だったと思います。
次回以降のテーマでも、マイコンに様々な判断と命令を担わせて、面白いマシンを製作して参りましょう。


2. 今月の課題


 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、〇は推奨、△は任意です。〇△は能力に応じます。

<ベーシックコース>(6月スタートの方を除く)
  〇 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ(1日目)
  △ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  〇上記授業内容を印刷する等して音読する
   (概ね3年生以上/低学年は補助 or クイズ出題形式で)
  ◎ テキストp.14の空間図形問題にチャレンジ(1日目)
  ◎ テキストp.16~20の設問に回答

 <ミドルコース>
  ◎ 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ(1日目)
  △ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  ◎ 上記授業内容を印刷する等して音読する
  ◎ テキストp.12の空間図形問題にチャレンジ(1日目)
  ◎ 60秒以上チクタク音が続くよう調整・改造

 <アドバンスコース>
  ◎ 上記授業内容を印刷する等して音読する
  〇 テクニカルコンテスト用ロボット(ライントレーサ)を製作し、
   高速追従性やゴール時の旗揚げ方法を考案する

 <プロフェッサーコース>
  ◎ 上記授業内容を印刷する等して音読する(該当するテキストページを見ながら)

3. [東福間]7月授業スケジュール

 ・7/11  9:00~ 理科実験・中級 第1回
 ・7/11 10:30~ ロボ・ミドル  第1回
 ・7/11 13:30~ ロボ・ベーシック第1回
 ・7/11 15:30~ ロボ・プロ   第1回
 ・7/11 18:30~ ロボ・アドバンス第1回

 ・7/25  9:00~ 理科実験・中級 第2回
 ・7/25 10:30~ ロボ・ミドル  第2回
 ・7/25 13:30~ ロボ・ベーシック第2回
 ・7/25 15:30~ ロボ・プロ   第2回
 ・7/25 18:30~ ロボ・アドバンス第2回

4. [小倉北]7月授業スケジュール

 ムーブフェスタの影響により、特別に下記の通りです。午後の部はありません。

  ・7/ 5 10:00~ ベーシック第1回 @企画ルーム1

 ※7/19 10:00~ ベーシック第2回 @和室(初!畳の上!)
 ※7/26 10:00~ ベーシック第2回 @企画ルーム2

 ※いずれか一方に出席下さい。
 ※両日ともOKな方は、3年生以上は7/19、2年生以下は7/26にお願いします。

5. 8月授業スケジュール(予告)

 下記が原則となります。不都合な方は、お早目にお知らせ下さい。
 [東福間]
  ・8/ 8  第1回
  ・8/22  第2回

  ※プロコースは別途

 [小倉北]
  ・8/ 9 10:00~、13:00~ 第1回 @企画ルーム2
  ・8/23 10:00~、13:00~ 第2回 @企画ルーム1

  ・9/ 6 10:00~、13:00~ 第1回 @和室
  ・9/20 10:00~、13:00~ 第2回 @企画ルーム2

  ・10/ 4 10:00~ ベーシック第1回 @和室
  ・10/18 10:00~ ベーシック第2回 @和室

  ・10/ 4 13:00~ ミドル開講 第1回 @企画ルーム2
  ・10/18 13:00~ ミドル開講 第2回 @企画ルーム2

6.  ひと言

 ベーシック・ミドルコースのアイデアコンテスト全国大会について、案内チラシを渡し忘れた方(6/21AMムーブ出席)には申し訳ありませんでしたが、次の授業で配ります。
オリジナルロボットを考案し、7/22(水)九州本部必着にて、所定の応募用紙・プレゼン動画(3分以内)を提出します。
 ベーシック・ミドル部門別で選抜しますので、ほぼ1回限りのチャンス!
有志は果敢に挑戦して下さい。
 アドバンスコースは、ライントレーサ(黒ライン追従車)によるスピードコンテストです。
九州地区予選が近隣の福岡市で開催されるという地の利を活かさない手はありません!
原則として、全員参加して下さい。(別報でご案内します)

 8/22(土)に東京大学で開催の第5回ロボット教室全国大会は、生徒さん・ご家族に限り、下記HP上で観覧申込みもできます。ご参照下さい。

http://kids.athuman.com/robo/event/convention2015/?code=/

詳細はご遠慮なくお問合せ下さい。

東福間・小倉北教室 佐藤