2015年2月28日土曜日

2月授業内容

1. 2月授業内容<ベーシックコース>
2. 2月授業内容<アドバンスコース>
3. 今月の課題
4.その他

1. 2月授業内容<ベーシックコース『クルリン』>


 でんぐり返りロボットです。モーターで回す長い腕が地面を突くから
でんぐり返るんです。単純ですし見ていて当たり前、何が面白いんだ!?
と言うとそれで終わります。しかし、座って静止させた状態から
このロボットの動きを予測するのは難しく、先生も最初は分かりませんでした。

 事実、腕を後ろ向きに回すと前転し、前向きに回すと後転するという、予想外な動きを見せます。
実際は、前転はできますが、(人に似せて)前方向にしか曲がらない脚(もも)のせいで後転はできません。
後転時は重力などで脚がまっすぐなままになり、腕の回転半径をはみ出るのででんぐり返るまでは至らず、ちょうど脚をピンと伸ばした腕立て伏せかバタフライのような状態に陥ります。

 長い腕の先を地面に突かせて重い本体を起こすには、
回転軸に強大な力(トルク)が必要です。
もうお馴染みの1/9減速ギア機構がモーターのトルクを9倍に上げていますが、
腕が長い分、何かの拍子に本体や持ち手に引っ掛かると(イタタタ…)、
てこの原理で強大な逆向きの力が回転軸を止めようとし、
ギヤに負担が掛かってガリガリ音とともに噛合せが外れ、
修理することもしばしば。

 また、でんぐり返り時の衝撃が激しいので、頭蓋骨が割れないよう
ロッドとペグでつなぎ留めたり(フランケンシュタイン?)、
包帯(輪ゴム)を巻いて緩衝策を立てたりしておくことも
耐久性を左右する秘策でした。

 それにしても、今回のロボットは元気いっぱいというか、
バッタンバッタンと動きが激しく、音も騒がしいロボットでした。
顔面が外れちゃうね!


2. 2月授業内容<アドバンスコース『バグモジョラ』>



 2ヶ月目の授業です。3日目は、戦車型リモコン(手動操縦)に代わり、
光センサー(自動操縦)を実装しました。
これで黒いラインを自動的に辿ることができるようになりました。
このようなロボットを“自律型ロボット”といいます。
「自分で律する(コントロールする)」という意味です。
「自立(自分の稼ぎで生計を立てる)」ではありませんよ。

 一口に黒いラインを辿るといっても、どのようなメカニズムでしょうか?

光センサーの構造と機能をおさらいします。裏面にある2つの“目”は、
一方が発光ダイオード(赤外線)で、他方がフォトダイオード(受光部)です。
家電リモコンの送信部と受信部がセットになったようなもので、
赤外線が白地で反射するか黒地で吸収されるかに応じて、
2つの出力プラグ(今回は左右モーター2個を接続)のいずれか一方に
入力電流を通すよう切り替えます。

だから出力の“オフ”期間はなく
白でオン”になるモーターと“黒でオン”になるモーターが
絶えず交互に動作する状況を利用してコントロールしているはずです。
コントロールとは、状況を判断しながら複数の状態を切り替え続けること
だからです。

 ということは、黒いラインのどこを辿るのか?
端(白と黒の境界)ですね。2つの出力プラグを差し替えることで、
左端が好きなロボットと、右端が好きなロボットに性格が分かれますよ。

 4日目は、最後の競技に向けたロボットの最終調整です。
黒いライン上で出くわした2匹のバグモジョラ(♂)が、
そこのけそこのけ、パワーバトルを繰り広げます。
進路を脱線した方が負け。7体がトーナメント形式で闘いました。

 我こそが勝たんと、様々な工夫が見られましたが、
その効果について考察します。

1) 重くする
  しっかり歩けるよう重心バランスに注意すれば、摩擦力・慣性力を
 上げるので吉でしょう。慣性(かんせい)力は説明していませんが、
 バイクが車に弾き飛ばされるのは、この力のためです。

2) 足裏にゴムを付ける
  今回この点の強化が見られませんでしたが、摩擦力を上げるので吉です。

3) 長い角を付ける
  「相手に早くリーチできる」という理由から何体か見受けられましたが、
 「相手から見ても自分に早くリーチする」こと(相対性)になりませんか?
  これだけなら“おあいこ”ですが、寧ろ自分にとって“凶”です。
 てこの原理により、相手の力が軽く角先にかかるだけで、
 自分の進路が容易に変えられてしまうからです。

  このように、観念的アイデアが物性的効果に結び付かないことは
 よくありますので、もっと深く考えてみましょう。そのためには
 経験と失敗から学ぶ(このまとめを熟読する!)姿勢が大切です。

 今月は長いですね…。まだ続けます。なぜ4本脚を6本脚に増やしたか

a) ムシだから(ごもっとも!)

b) 左3脚と右3脚とは独立駆動(モーター2個、つまり自由度2)であり、
 特に旋回中は片側の脚だけで推進力を生む必要があるところ、片側2脚では、
 前に戻る脚を浮かせて後方へ蹴る足の推進力を妨げないように
 姿勢を安定させることが難しいから

c) 直進時においても、下記2点に起因して、左右の脚の角度(位相)が
 固定的な相関関係をもたない(いつも同位相とか逆位相とは言えない)ため、
 やはり片側の脚ごとに推進力の確保が必要となるから
 (4脚のまま左右が同位相だと、EXILEダンスするだけ)
 ・手動操縦または自動操縦による左右モーターの非同期的オン/オフ
 ・左右モーターの個体差や負荷変動

 ちょっと難しいですが、「なぜ?」という疑問を突き詰めると、
これだけの言葉が出てきます。先生もかなり頭をひねって書いていますので、
「本当かな?」「どういうことかな?」と疑問をもちながら、一字一句を
貪(むさぼ)るように読んで、言葉を調べたり質問をまとめたりしてください。

 自分の言葉で授業まとめを書いたり、ロボット解説書を作成してみると、
頭が良くなって成績が上がりますよ。(学校の宿題より楽しくない?)
今月は宿題を出しておきます。


3. 今月の課題


 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <ベーシックコース>
  ◎ 専用方眼紙にロボットの4面図をスケッチ(1日目)
  ○ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  ◎ 上記授業内容を印刷する等して音読する

 <アドバンスコース>
  ◎ 上記授業内容を印刷する等して音読する
  ◎ 下記A. B.のいずれかを提出する(テキスト最終ページを使うとよい)
   A. ロボットの見取図をスケッチする
   B. 次の3点について各100文字程度でまとめる
    1) 4脚から6脚にした理由を述べよ
    2) 光センサーがバグモジョラに果たす役割を述べよ
    3) 周回コースを脱線しにくいのは、ラインの外回りと
     内回りのどちらか、その理由とともに述べよ


4. その他


 3/15~小倉北教室を開講することになりました。
先ずはベーシックコース7~8名からスタートし、
早めにミドル・アドバンスコースも開設して、
互いに振替授業などで利用・交流して頂けるようにしたいと存じます。


東福間教室 佐藤