2014年11月30日日曜日

11月授業内容

1. 11月授業内容<ベーシックコース>
2. 11月授業内容<ミドルコース>
3. 11月授業内容<アドバンスコース>
4. 今月の課題
5. その他

1. 11月授業内容<ベーシックコース『ロボクリーン』>


 おそうじロボットです。
90°ずつ向きをずらして前面のシャフトに取り付けた9本の赤い“ブラシ”を高速回転させる様がにくいですね!
あのロボット掃除機『ルンバ』を彷彿とさせます。いや、吸引はしないので、私が教室で使っている『スイブルスイーパー』と同じ仕組みです。
一頃テレビショッピングで流行し、手を出したものの倉庫で眠っていましたが、教室の広いフロアを手軽に掃除するにはうってつけだと、最近見直したばかりです。家の広い欧米で受けるわけです。


 大事な工夫点が他にもあります。
ブラシは高速回転させたいが、本体の走行スピードは…?
疾走されては困るので、ゆっくりタイヤを回さなくてはなりませんね。この相反する要求をどうやって1つのモーターで実現するかです。
部品配置は、モータータイヤ ブラシの順に並んでいます。
回転速度は、速い遅い速い です。


つまり、モーターを一旦減速してタイヤを回した後、増速してブラシに伝える構成が必要であり、それが筐体の側面に並んだ大小6枚のギアの役割なのです。
3連のピニオンギア(歯数8)がタイヤと同軸のギアL(歯数40)を回すので、1/5に減速されます。
その後、ギアM(歯数24)を経由してブラシと同軸のピニオンギア(歯数8)を回します。
途中のギアMは気にせず、ギアL⇒ピニオンギアと考えて、5倍の増速になります。

つまり、1/5×5=1で、モーターと同じ回転数(等速)でブラシを回しているのですね。
 2日目最後の競技は勿論、おそうじ対決!
1m程のコース上に小さく丸めた紙片とティッシュ片を5つずつ、3者で計30のゴミを散りばめ、1人ずつロボクリーンを走行させて
内部に取り込めた数を競います。

結果は、30点中13~17点と拮抗しました。
前面にガイドバーを取り付けるなど、間口を広げてゴミをかき集める改造には成功したものの、3者とも肝心の“容積”が足りず、溢れ出してしまったのは盲点でした。
 もう1つ残念なのは、赤いブラシが(当然に)固いプラスチック部品であり、柔軟性がないので、筐体との隙間にゴミが挟まってブラシが止まりやすいことです。

代わりに、回転シャフトに輪ゴムかビニールタイをくくり付けて試してみてください。
内部の汚れが問題になるほどゴミが取れてしまうかもしれませんよ。


2. 11月授業内容<ミドルコース『アメンボロボ』>


 アメンボのような動きで進みますが、推進原理は異なります。
突き詰めれば高度な学習テーマに満ちた、難しいロボットです。

 4脚キャスター付き椅子のように、X字に交差させたロッドの先端4箇所に自在に向きを変えるタイヤSを取り付け、ロッドの交差点に本体を載せています。

 1日目では、モーターで回転するクランク(モーター軸とずれた回転軸とを結ぶリンク機構で、手回しハンドル、自転車のペダル、ピストン式エンジンが主な利用例)により、ロッドのX字を閉じたり開いたりする動きを実現しました。
実はこれでほぼ完成なのですが、タイヤSはその向きがX字の開閉に合わせて阿波踊りの手先のように自在変化するだけで、一向に進む気配がありません。
どうしたものでしょう。2日目までの課題にしてみました。

 よく観察すると、タイヤは向きを変えているだけでなく、少し転がっては逆方向に戻る動きも見られますので、学習経験を生かして、「ラチェット機構により回転を一方向に制限してやればいい」というアイデアに辿り着いたものの、前進させるまでには至らなかったようです。
 2日目のテキストを配り、前輪同士と後輪同士をくくるように2本の輪ゴムをキャスターの根元に掛けました。

するとどうでしょう。輪ゴムがキャスターを内側に引っ張ることで、タイヤの向きが前後方向に“ほぼ”揃いました。
スイッチを入れてみると、1日目が嘘のようにスイスイ進みます。

X字の開閉に合わせて、床面との摩擦により、前後輪とも、ハの字⇔平行⇔逆ハの字の形を往復します。
X字を開く力は、左右両輪を前方に向かって開かせ(逆ハの字)、特に後輪が平泳ぎで水を掻くように推進力に変換されています。
X字を閉じる力は、左右両輪を前方に向かって閉じさせ(ハの字)、特に前輪で推進力に変換されています。

輪ゴムの弾性力により、
(1) タイヤを前後方向に緩やかに揃える(2) 摩擦力でタイヤの向きが変化するのを少しだけ許すことが功を奏しているのです。

 実際は、ここに書く程に簡単ではなく、X字リンクの歪みやタイヤの摩擦からくる開閉の重たさ、輪ゴムの強さ(弱ければタイヤの向きが定まらず、強ければモーターの力負けで停止)に影響して、推進させるまでに苦労し、競技する余裕もない難題でした。

 ラチェットは使いませんが、タイヤが後ろに転がる瞬間があるようなら、それを阻止することで推進効率が上がるかもしれません。
(下手をすると前進の摩擦も増えて効率が下がるかもしれません)


3. 11月授業内容<アドバンスコース『ロボドッグトレーナー』>


 新しいテーマの1ヶ月目です。
1日目は人型2足歩行ロボットの製作、2日目は犬型ロボット(といっても、こちらに学習テーマは無いので、簡略なもの)の製作、および人型ロボットとの接続です。

 人型ロボット単体では、片足を浮かす度に大きく傾き、転倒して歩けませんが、右手を犬型ロボットと繋ぐことで安定して歩くようになるものです。
犬を連れて散歩(トレーニング?)しているように見えるものの、内実は、盲導犬が人をアシストしているかのようです。

 人型ロボットの重要テーマは、脚のリンク機構です。
今回は片脚ごとに平行リンクを2つ繋げ、足の裏を地面に対して常に平行に保ちます。
平行リンクについては、3日目に再度学習します。

 さて、人型を犬型で支えるにあたり、大事な工夫があります。
人型は、足を運ぶ度に胴体(腕を含む)が上下に揺れますが、犬型(繋いだ人型の右手先を含む)は高さをあまり変えません。
生身の人と犬ならば、人が肘を屈曲させるかロープのたわみを利用して上下の揺れを吸収しつつ、互いのスピードを見計らって調歩することもできますが、今回はそれぞれ勝手に前進しようとする2体を横並びに揃え、“絆”を見せかけねばなりません。

つまり、右の肩と手先の間で上下方向の伸縮は許すが、前後方向のずれは最小限に拘束したいわけです。 この右腕にも平行リンクが使われています。
但し、可動方向を選ぶ機能が平行リンクの特質ではありません。
前後方向の拘束の仕掛けについては、ロボットを観察しましょう。


2ヶ月目に続けます。

4. 今月の課題


 次回授業日までに完了してください。
 ◎は必須、○は推奨、△は任意です。○△は能力に応じます。

 <ベーシック/ミドルコース>
  ◎ テキストp.12の空間図形問題にチャレンジ(1日目)
  ◎ 専用方眼紙にロボットの正面図・平面図・側面図をスケッチ(1日目)
   (ミドルコース生は免除する代わりに、推進機構を考えること)
  ○ テキスト最終ページにロボットの見取図をスケッチ
   (難しければ、写真撮影したものか、テキスト表紙を模写してもよい)
  ◎ 上記授業内容を印刷する等して音読する

 <アドバンスコース>
  ◎ 人型と犬型のロボットを完成させる
  ○ 上記授業内容を印刷する等して音読する


5. その他


 ちょうど12月に入って、寒風吹きすさぶ冬将軍❄️が到来しましたね。
年齢を重ねる毎に代謝が低下し、冬の寒さが応(こた)える身になってきたことを痛感します…。

東福間教室 佐藤